男子ゴルフの海外メジャー、全英オープンが14日から4日間、第150回記念として、“聖地”英セントアンドリュース・オールドコース(7297ヤード、パー72)で開催される。高校時代はフィリピン留学で鍛錬し、4月の日本ツアーで初優勝を遂げた注目の新鋭・桂川有人(23)=国際スポーツ振興協会=が全英でメジャー初挑戦。12日までにスポーツ報知の取材に応じ、「ワクワク感がある」と大舞台への思いを語った。(取材・構成=榎本 友一、宮下 京香)
高鳴る気持ちがあふれ出ていた。聖地・セントアンドリュース開催の特別な全英オープンで、桂川が初めて海外メジャーに挑戦する。
「今はワクワク感があります。一生に一度は回りたいと思っていたコース。楽しめるように準備していけたら。ロリー・マキロイ選手やコリン・モリカワ選手とも一緒に回りたい。実際に『すごい球』といわれるショットを見て感じたい」
1月のSMBCシンガポールオープン(シンガポール・セントーサGC)で2位。プロ3年目で念願の全英切符をつかんだ。4月にはISPSハンダ欧州・日本トーナメントでツアー初優勝。トップ10は11戦中6回と今、最も勢いがある若手注目株だ。
「本当に(全英に)行けるのか、不思議な感覚でした。セントーサも下が硬く、コースは似ている部分があるかな。そういうコンディションの中、上位で回れたのは全英につながると思う」
海沿いのリンクスコースで、強風に加え、強い傾斜で「くねくねした」グリーン周りの攻略もカギだ。12日の練習ラウンドでメジャー1勝のジャスティン・ローズ(英国)に指導も受けた。
「(傾斜のあるグリーン上で)パターでは狙えない状況。アプローチでドローをかけて寄せることを言ってくれました。(風対策は)プロになって初めて2アイアンを用意しています。今日みたいに風が強かったら、2アイアンを入れるかな」
現在の武器は異国で築いた。小さい頃にテレビで石川遼(30)を見て以来、プロを夢見た。高校入学前にフィリピンでのゴルフ留学の話を受け、通信制の高校に籍を置きながら、約3年単身修行へ。現地では早くて朝5時半にコースに出て夕方6時まで。ゴルフ漬けの日々を送った。
「日本の高校に行っていたら、プロを諦めていたと思う。フィリピンは環境がすごい良かったので、覚悟を決めて行きました。(現地で)練習も全て自分で考えていた。ショットは極めていたので、今、自信を持ってできています」
昨年のマスターズで松山英樹(30)が日本男子初のメジャー制覇。今季日本ツアーで賞金ランク2位とブレイク中の新鋭も、将来は海外挑戦を見据える。
「全英では成績よりも自分のプレーができるように心がけたい。今のゴルフがどこまで通用するか確かめられたら。これからは日本だけではなく、世界の選手と戦いたい気持ちがある」
世界最高峰の舞台で思う存分戦い抜き、世界進出への足がかりをつかむ。
◆セントアンドリュース・オールドコース 1552年に開場されたリンクスコース。「ゴルフ発祥の地」スコットランドのファイフにある。メジャーで世界最古の歴史を誇る全英オープンは、第150回開催記念に合わせて2015年以来、7年ぶり30回目の開催。名物ホールは17番パー4で、グリーン脇の深いバンカーは、1978年大会に中嶋常幸が脱出に4打を要したことから、中嶋の海外登録名(Tommy)をとって“トミーズバンカー”と呼ばれる。
◆桂川 有人(かつらがわ・ゆうと)1998年10月9日、愛知・清須市生まれ。23歳。祖父の勧めで4歳からゴルフを始める。通信制のルネサンス豊田高から日大に進み、2018年に日本学生選手権優勝。20年にプロ転向し、21年に石川遼エブリワンプロジェクトで下部ツアー初V。今季国内ツアー1勝で、賞金ランク2位。趣味はプロレス観戦。167センチ、70キロ。家族は祖父と母。