◆米男子プロゴルフツアー今季メジャー最終戦 全英オープン 第1日(14日、英セントアンドリュース・オールドコース=7313ヤード、パー72)
【セントアンドリュース(英国)14日=宮下京香】第150回の記念大会がゴルフの聖地セントアンドリュースで開幕し、3年ぶり8度目出場の松山英樹(30)=LEXUS=は4バーディー、3ボギーの71で回り、1アンダー35位で滑り出した。名物ホール、17番の“神業”ショットで聖地のファンを熱狂させ、日本人初のメジャー2勝目へ勝機をうかがう松山を「見た」。キャメロン・ヤング(米国)が8アンダーで首位に立った。
松山の技が聖地を熱狂に包み込んだ。17番(パー4)は、第1打が目前の「ホテル越え」、グリーン左には「トミーズバンカー」がひそみ、セントアンドリュースを象徴する難関ホール。第1打はドライバーで会心の当たりを披露し、残り128ヤードの第2打で56度ウェッジを振ると、球はピン方向へ。カップをかすめたが、そのままグリーン右奥の道路にこぼれ、最悪の状況に見えた。
アスファルト上で止まった第3打は、ローカルルールで救済措置はできない。しかし、松山から焦りは感じられない。開幕前日に想定した練習を行っていたからだった。球が通る道を何度も確認し、クラブのグリップ先端を短く持ち、コンパクトに振ると、クラブは地面に触れることなく球をきれいに拾った。土手で1度弾ませ、1・8メートルへ。この“神業”に「ヒデキ、ナイス!」の声と拍手が沸き起こり、松山は初めて右手を上げた。パットを外し、ボギーとしたが、その熱を含んだまま18番に入った。
18番は356ヤードのパー4。強い風が吹く海沿いのリンクスコースで行われる全英に向け、1月から試行錯誤し、前週から投入した3アイアンが最高の締めを演出した。第1打で迷いなく振り抜くと1オンでのバーディー締め。「良くもなく悪くもなくという感じ。ミスもありながら、最低限のプレーはできたかな。ショットも良くなってきている」。風速8メートル、小雨もちらつき、全英らしさも見られる天候。計112個あるバンカーを警戒し、特に後半は方向性を出しやすいアイアンの攻めが光った。
1番で3メートル半のバーディーパットを外すなどグリーン上は苦しんだ。だが「悪いパットをして外しているホールは逆にほとんどなかった」。同コースで開催された15年大会初日を1打下回る1アンダーと上々の滑り出し。首位とは7差。一喜一憂せず、淡々と話す松山の表情からは逆襲の予感がした。