馬場咲希の強さは、飛ばす力と聞く力…ブリヂストンスポーツの中原創一郎氏が語る宮里藍さんとの秘話


5月のブリヂストンレディスでベストアマに輝き、宮里藍さん(右)と記念撮影する馬場咲希

5月のブリヂストンレディスでベストアマに輝き、宮里藍さん(右)と記念撮影する馬場咲希

 ゴルフの世界女子アマチュアチーム選手権が24日から4日間、フランスで開催される。日本女子は、14日まで行われた全米女子アマ選手権で日本勢37年ぶり2人目の女王となった馬場咲希(17)=日本ウェルネス高2年=を中心に、前回2018年大会の2位を上回る初優勝を目指す。今月からアマ日本代表入りした馬場の魅力、元世界ランク1位・宮里藍さん(37)との秘話をブリヂストンスポーツの中原創一郎氏(47)が語った。(構成・岩原 正幸)

 宮里藍さんの現役時代(17年に引退)を長年サポートし、数々のトッププロを見守ってきたブリヂストンスポーツの中原氏は、馬場の一番の魅力を「ドライバーの飛距離」と即答した。同社は、馬場の将来性を高く見込んで19年から支援。「規格外のクラブスピード、パワーがあり、将来が非常に楽しみ。力勝負の米ツアーに、堂々と打って出ていける選手です」と明かした。175センチの長身から、平均270ヤードを飛ばす17歳は大きな可能性を秘めている。

 パワーだけでなく、“聞く力”もある。躍進の裏には研究熱心さがある。米遠征を控えた5月のブリヂストンレディス出場時に、憧れの藍さんとの座談会で積極的に質問する姿があった。米通算9勝の“レジェンド”から「自分のゴルフの基本を重視しつつ、芝質、気候の違いにどう対応するか」、「練習ラウンドでコースを事前にチェックする重要性」など、海外で戦う術(すべ)を伝授されたという。

 今月中旬の全米女子アマ(米シアトル近郊のチェンバーズベイ)ではマッチプレーを勝ち抜き、日本勢37年ぶりの快挙を達成。一躍、注目を浴びた。「パワーがある一方で、食が細く、これまでは持久力や体力に不安があった。最初に遠征した全米女子オープン(6月、49位)は最終日の後半で軽い熱中症になったと聞いていた」としつつ、「今回どの試合も割と大差で勝てたのも大きかった」と今後の成長の糧になった。

 用具面では同社のハードヒッター向けのドライバー「BリミテッドB1」を使って1年になる。アイアンは4番から入れ、中原氏は「まだ成長過程。簡単なクラブでやさしく打つのではなく、今しっかりそういう(長い)クラブを振っていった方が、これから体が強くなり、もっとスケールの大きなプレーをしてくれると思う」と語った。

 24日開幕の世界女子アマへ、中原氏は「ナショナルチームの皆さんの国際舞台での活躍はものすごい。優勝の可能性も十分あると楽しみにしています」と日本女子初の快挙を待ち望んだ。さらに、馬場の今後について「全米女子アマを勝ち、最高峰の(メジャー)全米女子オープン優勝を目指してやってほしい。藍プロら先輩たちが築いたものを私たち(ブリヂストン)も受け継ぎ、強い選手になってもらい、もっと大きな優勝を託したい」とエールを送った。

 ◆世界女子アマチュアチーム選手権 国際ゴルフ連盟が主催し、2年に1度の開催。1964年に第1回がフランスで行われ、日本人トップアマが挑んできた。2020年は新型コロナウイルスの影響で中止。アイルランドで初開催された前回18年大会、安田祐香が個人2位となり、日本女子は団体戦で2位に入った。今大会は各チーム2~3人で構成され、約60チームが参加。ストロークプレーの個人戦と各チーム上位2人のスコアをチームスコアとし、4日間の合計で争う団体戦が行われる。

 ◆全米女子アマVTR 今年8月に米北西部ワシントン州で行われた。馬場は初日、2日目のストロークプレーを73、74の1オーバー(パー73)の34位で通過。マッチプレーでは1~3回戦を勝ち上がり、準々決勝で4アンド3、準決勝で7アンド6、モネ・チャン(カナダ)と対戦した36ホールの決勝(14日)は11アンド9(9ホール残し11アップ)の大差で勝利し、日本勢で1985年・服部道子以来の優勝を飾った。

最新のカテゴリー記事