◆日本、アジア、韓国共催 ▽男子プロゴルフツアー シンハン・ドンヘ・オープン 第1日(8日、奈良・KOMAカントリークラブ=7065ヤード、パー71)
初の日本開催となった3ツアー共催大会が開幕し、プロ4年目の古川雄大(ゆうき、フリー)が7バーディー、1ボギーの65で回り、6アンダーの好スタートを切った。
ツアー初優勝を狙う24歳が“2つの武器”を生かし、好プレーを披露した。大学3年時から使い続けてきた「ミズノ プロ 120」のアイアンを、今週から後継の「ミズノ プロ 221」に一新。古川は「トラックマンとかでテストして、距離感がしっかり合っていた。今までは7番(アイアン)くらいまでしかイメージが出なかったけど、4、5番くらいまでの距離感のイメージが出るようになって。メチャクチャ、自信を持ってラウンドできた」。その言葉通り、スタートの1番で残り150ヤードのセカンドショットをピン4メートルにつけて、バーディー発進。その後も新兵器でバーディーチャンスを量産して3、14番は3メートル、13番では1・5メートルをモノにした。
課題としていたパットも、はまった。今年4月のISPSハンダ欧州・日本トーナメントでは、状況によって順手とクロスハンドの握り分けを初導入するなど試行錯誤してきた。転機は5月末のミズノオープンから欠場することとなった、左足首靭帯の損傷。この休養期間を有効活用した。「パターができる状態になった時に、いろんな施設を回って数値を取った。悪くない数値は出ているので、じゃあ目線の問題かなと。(以前は)立った時に気持ち悪さがあって(握りを)替えていたが、気持ち悪くならない方法を見つけて克服できた」。詳細に関しては「内緒」と笑ったが、「立ち方というか、目線がずれていた。目線の修正という感じ」と胸を張った。8月の日本プロ選手権での完全復帰後から取り組んできた成果で、この日は6、16番で7メートルを決め切るなど、7つのバーディーにつなげた。
同世代の活躍が背中を押す。2週前のSansan・KBCオーガスタで河本力(22)、先週のフジサンケイクラシックでは大西魁斗(23)が、ともにプロ2年目でツアー初優勝。3年目の桂川有人(23)も今季初Vから現在、賞金ランク2位につける躍進ぶりで「負けてられないという刺激は、メチャクチャもらう。もらう反面、自分には持ってない何かを持っている子たちなのかなと思う部分もあって、僕じゃ勝てないのかなと思わされる部分がある。苦しい時期だとは感じている。でも、負けてられない。地道にコツコツと、うまくなっていくしか、練習するしかない。本当、同世代には負けてられない」と言葉に力を込めた。
昨年は日本ツアー選手権森ビル杯で初日3位も、最終的に2位惜敗。するとフジサンケイクラシックは3位→45位、パナソニックオープンは4位→39位、日本オープンで4位→18位と、いずれも初日の好スタートを生かし切れなかった。今季もISPSハンダ欧州・日本トーナメントで1位→21位、Sansan・KBCオーガスタで2位→21位と終盤に失速して好機を逃してきた。本人も自覚しており、「いいスタートを切れているとは思うが、優勝争いできる位置に3日目終わった時点で残っておくのが、とりあえず今の目標。多分、伸ばし合いになっていくと思うので、今までの自分とは違うゴルフをどうやってできるかなと試行錯誤しながら、回ります」と2日目以降の戦いに気を引き締めた。
ただ表情も、口調も明るいのは状態の良さだろう。この日は最終18番でボギー締めとなったが、「まだまだだなと思って、残念な気持ちでホールアウトしてきた。それまではルンルンで、ノリノリだったのに」と、報道陣を笑わせた。大会中は伊賀上野のホテルに滞在しており、「看板に『ようこそ伊賀へ』ってあったのを見て、そう言えば忍者の里だと思って。忍者を探しているんですけど」と、再び笑いを誘った古川。最終日に自身初の栄冠をつかみ、最高の笑顔を見せるか。