◆女子プロゴルフツアー 住友生命レディス東海クラシック 最終日(18日、愛知・新南愛知CC美浜C=6502ヤード、パー72)
尾関彩美悠(あみゆ、19)=フリー=が5バーディー、3ボギーの70で回り通算13アンダーで逃げ切り、ツアー初優勝を決めた。12番以降にバーディーを4個量産し、2位の吉田優利(22)=エプソン=に1差をつけて制した。前週の川崎春花(19)=フリー=に続き、新たに女優の小芝風花似のニューヒロインが誕生。ルーキーの2週連続での初優勝も初めてで、ここ6戦のうち4勝を挙げる快進撃となった。
最終18番、ショットを1メートル強につけた尾関は慎重にパットを沈め、勝利のガッツポーズ。「ホントにうれしい」と笑顔がはじけた。10、11番で痛恨の連続ボギーも「吹っ切れた」と、どんよりムードからハツラツとしたプレーを取り戻した。
台風接近の影響で2番で約2時間の中断。バケツの水をひっくり返したような大雨と暴風に見舞われた。コースは水が浮き、傘が吹き飛ばされるほど。再開後は、同じ日本女子アマ覇者で通算2勝と経験で上回る同組・吉田がリードし、頂点は遠のいたかと思われた。
15番のバーディーで吉田、後藤を含めた3人が並んだ。16番で吉田が約10メートルのバーディーを決めたが、直後に7メートルを入れ返す強じんなメンタルを発揮。おっとりした雰囲気で「普段は忘れ物が多い」と苦笑するが、負けん気の強さは人一倍だ。
前週、京都・城陽CCで行われたメジャーで川崎春花が世代一番乗りの初優勝。尾関は最終日に73と落とし29位で試合後は号泣した。引き続き、4試合目のコンビを組む栗永遼キャディー(27)に「#次は私」とSNSでメッセージを送信。同会場で自身が昨年11月のプロテストにトップ合格していた意地もあり、同期に負けた悔しさからの涙だった。「今週はとくに優勝目指して頑張っていた」。宣言通りに、川崎に続き、ルーキーの19歳が2週連続でツアー初優勝を飾るのは初。8月に2連勝した昨年6月合格の岩井千怜を含め、ルーキーが6戦4勝と歴史に刻む記録となった。
祖父、父がコーチというゴルフ一家に生まれ、自然とプロを目指した。19歳94日での優勝はアマ、招待選手を除き歴代8位の年少記録だ。緊張はしない性格で、18番では父が握ったおにぎりを食べてパワーアップ。女子ゴルフ界の新たなヒロインとなった19歳は、涙するキャディーの横で対象的な笑顔を見せた。近い将来の目標を聞かれ「年間女王になりたい。もっともっと強くなりたい」と元気よく答えた。(岩原 正幸)
◆尾関 彩美悠(おぜき・あみゆ)2003年6月16日、岡山・倉敷市生まれ。19歳。7歳からゴルフを始める。渋野日向子と同じ岡山・作陽高3年時の昨年6月、日本女子アマで優勝。同11月のプロテストでトップ合格。今季はトップ10が4度でポイントランク37位。「鮮やかに美しく悠々と生きてほしい」と父・美成(よしなり)さんに名付けられた。158センチ、50キロ。