蝉川泰果、アマ大会最少64…“ビッグドライブ”連発で暫定単独首位発進


18番、バーディーパットを決めギャラリーの拍手に応える蝉川泰果(カメラ・馬場 秀則)

18番、バーディーパットを決めギャラリーの拍手に応える蝉川泰果(カメラ・馬場 秀則)

◆男子プロゴルフツアー メジャー第3戦 日本オープン 第1日(20日、兵庫・三甲GCジャパンC=7178ヤード、パー70)

 日没のため6人がホールアウトできなかった。9月のツアー、パナソニックオープンで史上6人目のアマチュア優勝を達成した蝉川泰果(たいが、21)=東北福祉大4年=が7バーディー、1ボギーでアマとして大会最少記録の64をマークし、6アンダーで暫定で単独首位に立った。世界アマランク1位の逸材がドライバーを武器に、1927年の第1回大会・赤星六郎以来、95年ぶり2人目のアマでメジャーVを狙う。

 蝉川は300ヤード超の飛距離を軸に落ち着いてゲームを組み立てた。10番から出ると、18番は第2打を1メートルに運び、4個目のバーディー。地元・兵庫の観客からの拍手に笑顔で応え、後半も伸ばして64。アマでは17年・金谷拓実(3R)、18年・桂川有人(2R)の65を更新する大会最少ストロークだ。「難しいコース設定でも果敢に攻めて自分らしさを貫いた。ここまでのスコアが出るとは思わなかった。貯金ができた」と、表情を緩ませた。

 パー3を除く14ホール中9ホールでドライバーを握る積極策で攻略した。6月に国内下部ツアー優勝がきっかけとなり「全部の試合で勝てるイメージが湧いている」と、飛んで曲がらないドライバーショットに絶大な自信を持つ。フェアウェーを外したのは5番の1ホールだけ。日本オープン3度目の出場(過去2回は予選落ち、56位)で「今年は冗談抜きで勝ちにいきたいと思っている」と好発進につなげた。

 パナソニックオープンで石川遼、松山英樹、中島啓太らに続くアマV。世界アマランク1位にもなった。19日は13年マスターズ覇者のアダム・スコット(豪州)と練習ラウンドをともにし、「ビッグドライブ。ナイスガイ」と絶賛された。「来年はPGAツアーや(米国の)下部ツアーにスポットで何試合か行けたら」と、海外進出を思い描く。

 今大会は杉原大河ら4人の「タイガ」が出場する中、「同じ名前のタイガにも負けたくないけど、誰にも負けたくない」。暫定首位で史上初のアマとして2勝目、赤星六郎以来となる95年ぶり2人目のメジャー制覇を視界に捉え、「もっといいスコアで回れればいいけど、毎日60台を並べたい」と口元を引き締めた。無限の可能性を持つ21歳は攻めのスタイルを崩さない。(岩原 正幸)

 ◆蝉川 泰果(せみかわ・たいが)2001年1月11日、兵庫・加東市生まれ。21歳。名前の由来はタイガー・ウッズで父・佳明さんが名付けた。1歳からプラスチック製クラブでゴルフを始め、兵庫教育大付中から大阪・興国高を経て東北福祉大に進学。高校2年時に関西ジュニア選手権、高校3年時に国体優勝。22年度のナショナルチーム選出。9月にツアー優勝。175センチ、77キロ。

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