東北福祉大の阿部監督がアマチュア2人目メジャー、日本オープン制覇の蝉川を絶賛「松山に続き世界の頂点を」


キャディーの石過さん(左端)や東北福祉大のチームメートらと優勝を喜んだ蟬川

キャディーの石過さん(左端)や東北福祉大のチームメートらと優勝を喜んだ蟬川

◆男子プロゴルフツアー メジャー第3戦 日本オープン 最終日(23日、兵庫・三甲GCジャパンC=7178ヤード、パー70)

 東北福祉大ゴルフ部の阿部靖彦監督(60)が、アマチュア2人目のメジャー、日本オープン制覇の偉業を成し遂げた、まな弟子・蝉川泰果(21)=同4年=を祝福。精神面の急成長を勝因に挙げ、前夜には「記録にも記憶にも残る優勝を」と激励した秘話も明かした。11月にも予想されるプロ転向後は、21年マスターズ王者の松山英樹(30)=LEXUS=のように世界舞台での活躍を心待ちにした。

 阿部監督は、大学のある仙台市内でテレビで教え子の快挙を見守った。「最後まで笑顔で蝉川らしいゴルフをしていましたね。1番と18番でドライバーを思い切り振り抜いて、フェアウェーに運んだことは褒めてあげたい。優勝インタビューで、周囲への感謝の言葉を口にできていたところに成長を感じました」。

 10年3差3位の松山、17年1差2位の金谷拓実ら大学の先輩たちも届かなかった、アマでの日本オープン制覇。蝉川の勝因を指揮官は「精神的な成長」と指摘した。関西出身で性格は「お調子者でノリの良い子」。昨秋、人間的な成長を見込んで主将に任命した。「池田勇太や宮里優作と似ていて、言葉で皆をまとめる主将。自分のことだけでなく、周りに気を配れるようになった」と今季大学の団体戦は3戦全勝。だが、9月の世界アマ選手権個人戦で1差2位と敗戦。帰国後「もう負けたくない」と勝負への執着心が強まった。

 大学同期には、17年日本ジュニア王者・鈴木晃祐(4年)らがいる。高校までは日本タイトルと縁の無かった蝉川。阿部監督は「ゴルフに上手さや、まとまりはなかった。でも、思い切り振り切れる魅力があった」と豪快なスイングに高い将来性を見い出した。整った環境で4年間、ライバルとともに努力。飛距離とショットの精度が増した。

 2位に6差をつけた22日、愛弟子をLINEで激励した。「記録に名前を残すチャンス。見ている人を笑顔でわかせて、記憶に残るゴルフをして勝て」―。蝉川は観客の声援を背に地元で偉業を成し遂げた。プロ転向を前に「松山に続き、世界の頂点を目指すゴルフをしてほしい」と阿部監督。日本ゴルフ界の新星の背中を押した。(榎本 友一)

 ◆阿部 靖彦(あべ・やすひこ)1962年5月19日、秋田・大曲市(現大仙市)生まれ。60歳。大曲農高野球部では捕手で、東北福祉大野球部では2年生から学生コーチを務めた。卒業後は大学職員となり、89年にゴルフ部と軟式野球部の監督に就任。ゴルフ部では池田勇太、佐伯三貴ら男女計約60人ものプロゴルファーを輩出するなど、男女合わせて全国大会45勝の強豪に育てた。家族は妻と2男1女。

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