
ギャラリーが見つめる中、1番でティーショットを放つ長野(カメラ・竜田 卓)
◆報知新聞社主催 国内男子プロゴルフツアー 今季最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 第1日(1日、東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)
初出場の長野泰雅(19)=福岡地行=が4バーディー、1ボギーの3アンダー67をマークし、首位に2打差の8位スタートを切った。浅見緑蔵の1928年日本オープンでの19歳281日を超える、19歳212日での国内メジャー最年少優勝に挑む。
休み明けの「タイガ」が、師走の東京よみうりでほえた。直前に切符を手にした初出場の長野が、2打差8位と絶好の位置で初日を終えた。「調子自体はよくない。練習していなかったから。でもパターが入ってくれた。続くかどうかわからないけど」。気負いのない19歳は11番で11メートル、15番パー3は12メートルとロングパットを決めてスコアを伸ばした。
賞金ランキング29位で30人の出場枠に滑り込んだ。日本ゴルフツアー機構(JGTO)から吉報が届いたのは、すでにオフモードだった先月27日。「あ、出られるんだ」。すぐに荷造りを済ませ、翌28日朝の飛行機に飛び乗り、自宅のある福岡から東京へ。コースに直行し、日没まで練習場に残り急ピッチで仕上げた。
昨年の3次予選会で敗退し、ツアーデビューの今季は推薦出場を活用しながら前戦までの9試合を戦った。推薦の適用可能上限に到達したため、自己最高の3位に入った10月の日本オープンが“ラストマッチ”に。丸1か月、実戦から遠ざかった。「ラウンドを3日に1回していたくらい」で、友人とスパリゾートに行き、そのままビリヤードとダーツでの真剣勝負を楽しむ日々。生活スタイルはすっかり逆転した。「朝が最近きつくて。3時とか4時に帰って寝るとかだったから」。この日も朝5時40分の目覚まし時計の音を恨んだ。
「泰雅」の名前はタイガー・ウッズ(米国)が由来だ。この日キャディーを務めた父・清一さんは、ともに永久シード選手の尾崎将司と直道兄弟から一文字ずつ取って『将直(まさなお)』と名付けようとしたが、母・珠美さんが「それは昭和過ぎる」と反対。「泰雅」になった。「明日も今日と同じくらいのスコアを出したい」。19歳212日での国内メジャー最年少優勝へ、タイガドラマを演じ抜く。(高木 恵)
◆今大会で長野にかかる主な記録
▽国内メジャー最年少V 最終日に19歳212日となり、1928年の日本オープンでの浅見緑蔵の19歳281日を塗り替える。
▽ツアー史上4人目の10代V 1973年のツアー制施行後、2007年マンシングウェアオープンKSB杯の石川遼(15歳8か月3日)、11年ミズノオープンの黄重坤(韓国=19歳1か月10日)、11年三井住友VISA太平洋マスターズの松山英樹(19歳8か月17日)に続く4人目となる。
▽日本シリーズJTカップがツアー初優勝 過去に1994年の佐々木久行、03年の平塚哲二、13年の宮里優作に続く4人目。