石川遼 史上7人目大会3勝へ3差12位発進 「最終日に優勝争いできるように頑張る」


18番、バーディーパットを外し悔しがる石川遼(カメラ・今成 良輔)

18番、バーディーパットを外し悔しがる石川遼(カメラ・今成 良輔)

◆報知新聞社主催 国内男子プロゴルフツアー 今季最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 第1日(1日、東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)

 史上7人目の大会3勝目を狙う2015、19年大会覇者の石川遼(31)=カシオ=が、首位と3打差の2アンダー12位の好発進を決めた。今大会の2番目となる出場13度目を誇る“シリーズ男”は2年ぶりとなる好相性のコースで、5バーディー、3ボギーの68をマークし、「気持ちだけでやった」と気迫十分。稲森佑貴(28)=国際スポーツ振興協会=ら3人が5アンダー首位で並び、3打差に上位15人がひしめく初日で存在感を示した。

 やはり主役はこの男だ。名物の18番が大拍手で沸いた。実測220ヤードのパー3。石川が「魔のホール」の第1打で4ユーティリティーを迷わず振り抜いた。急傾斜の高速グリーンで唯一の好機、ピン手前4メートルにつける好ショット。「寒いから奥にはいかない。一番いいラインについた」。真っすぐ打ったバーディーパットはカップ左縁をなめ、ガックリとしゃがみ込んだが、初日はバーディー2人だけという難設定のホールをパーで締めて、大会初日の自己ベストに1打差に迫る68。首位と3打差で足取りは軽かった。

 気温8・6度と一気に冷え込んだ真冬の戦い。石川の経験が生きた。出場回数は14度目の谷原、池田に続く13度目。過去9度、トップ10に入った大会だ。朝の練習場からグレーのニット帽で防寒。1番でドライバーを左隣の10番ホールに曲げるボギー発進となったが、傾斜の強いグリーンにショットでは正確性が試され、「寒さで飛ばないが、球をコントロールすること」と心がけた。6番の第1打でフェアウェー中央に運んで初バーディー。16番、17番の連続バーディーで流れをつくり「いい上がり方。集中力を切らさずにできた」とうなずいた。

 2020年から再現性を求め、トップを浅くしたスイングに改造。前年覇者として出場した20年大会はスイング変更も道半ばで6位だった。課題のドライバーなど長いクラブで攻める「ロングゲーム」に手応えを持ち始めた先月の三井住友VISA太平洋マスターズで2年11か月ぶりの復活優勝。自信をつけて「すごく好きな大会」に帰ってきた。初日ラウンド後は「ドライバーはコースマネジメントの範囲内」とし、約20分でショット練習を切りあげ、急傾斜のグリーンの対策に時間を割いた。

 20年大会は無観客開催で自身は3年ぶりにファンの前で迎えた。それだけに早くも4番で4メートルのガッツパーが出て「気持ちだけでやった」と気迫がにじむ。初日は12位ながら首位と3打差。過去2勝は初日を終えてともに4打差以内につけており、史上7人目の大会3勝目は射程圏内。「最終日に優勝争いができるように必死に頑張る」と石川。最終日に最終ホールを今年一番の熱狂で包む。(宮下 京香)

 ◆東京よみうりCCの18番パー3(227ヤード) 硬くて速いグリーンが特徴。すり鉢状の観客席に囲まれ、数々のドラマを生んだ名物ホール。手前から攻めるのがセオリーとされる。距離があるだけに向かい風の場合、第1打でウッドを使う選手も多い。第35回(1998年)大会でE・エレラが大会史上初のホールインワンを達成したのが唯一。この日の平均スコアは3.3333で、最も難しいホール。

 ◆石川の過去2勝VTR

 ▽15年大会 第3Rに63で回るなど大会で唯一4日間60台を並べ、通算14アンダーで2位に5打差をつける圧勝劇。メジャー初制覇を飾るとともに、大会初の平成生まれ王者となった。

 ▽19年大会 初日3打差8位発進。2打差5位で迎えた最終日に66で、通算8アンダーで並んだケネディ(豪州)とのプレーオフを3ホール目で制した。

 ◆石川にかかる主な記録

 ▽大会3度目の優勝 歴代最多は尾崎将司の7勝(71、72、74、77、80、95、96年)。2位に青木功の4勝(78、79、83、87年)。杉原輝雄(65、70、73年)、尾崎直道(88、90、91年)、藤田寛之(10~12年)、宮本勝昌(98、01、14年)が3勝で3位。石川は過去12度の出場で10位以内に9度入っている。

 ▽3年ぶりの年間複数回優勝 ツアーで年間2勝以上は09年の4勝、10年の3勝、15年の2勝、19年の3勝に続き5度目となる。

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