
12番、パーパットを沈めるも厳しい表情を見せる石川遼 (カメラ・竜田 卓)
◆報知新聞社主催 国内男子プロゴルフツアー 今季最終戦メジャー 日本シリーズJTカップ 第3日(3日、東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)
史上7人目の大会3勝目を狙う2015年、19年大会覇者の石川遼(31)=カシオ=が、通算5アンダーで首位と6打差の11位に後退も、逆転優勝“圏内”に残った。4バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの69。大会連覇を逃した20年最終日の雪辱へ“攻め”に転じる考えも示唆し、大会史上2番目の大逆転劇に挑む。
石川が追い込まれた。首位に1差に迫った15番パー3(実測200ヤード)。右からの風の第1打、6アイアンを振り切った。だが、まさかのグリーンを大きく越え、奥の16番ホールのラフに外した。崖の下からの第2打で3本の木を抜いて脱出し、グリーンの反対側から寄せたが、痛恨のダブルボギーとし、頭を押さえた。「ショットはいい当たり。風が頭になくて。狙い方のミス。行っちゃいけない方だった」と悔しさが残った。
13番までは4差8位から思い通りに試合を運んだ。6番パー5で残り207ヤードから6アイアンでピン手前7メートルに2オンし、バーディー。9番は164ヤードの第2打を右2メートルにピタリ。この日のパーオン率は全体1位の約83・33%。前半に3つ伸ばし、「ショットはキレもある。コツコツと…いいプランでやれた」。だが、14番パー4の第2打でクラブの間の距離が残り、抑えで打ったショットで「力感をミス」と9メートルショート。モヤモヤしたまま15番のティーイングエリアに立ち、「引きずった」とミスが続いてしまった。
雪辱を果たしたい。連覇を狙った20年大会最終日は4差6位で出るとピンを攻め、3メートル以内の好機を何度も演出。パットが入らず6位に終わったが、爆発力をのぞかせた。18勝中7度が逆転V、10年中日クラウンズで6差18位から逆転した経験を持つ男は「根拠のある形でプランを立てるのはありかな」と最終日に“攻め”に転じる考えを示唆した。
ラウンド後は「頭を整理し(最終日の攻め方を)考えたい」と約30分で練習を切りあげ、コースを後にした。今大会では過去に2度、7差逆転Vの例がある。15番を浮かべ、「(精神面で)明日に支障が出る、出ないは(成長へ)いい機会。ふわっとした気持ちでやりたくない」とこのまま引き下がるつもりはない。快進撃を続けるサッカーW杯日本代表ばりの大逆転劇へ勇敢に挑む。(宮下 京香)
◆石川の最終日逆転優勝 日本ツアー通算18勝のうち7勝。打差数、順位ともに最大の逆転は6打差18位から「58」を記録して制した2010年・中日クラウンズ。日本シリーズでは15年に3打差単独首位から逃げ切り、19年は2打差5位から66で回り、プレーオフを制して大会2勝目を挙げた。今年11月に2年11か月ぶりに優勝した三井住友VISA太平洋マスターズは3打差2位から69で、プレーオフの末つかんだ。
◆最終日最大逆転 日本シリーズでは7差が過去最大で2例ある。1989年大会の大町昭義は4位から66をマークし、10アンダーで2打差をつけて優勝。94年大会の佐々木久行は3位から66で回り、14アンダーで初出場Vを飾った。