若手の活躍に拍車をかけたゴルフを科学で考える時代…日本女子プロゴルフ協会・小田美岐専務理事が分析


山下美夢有

山下美夢有

 今年の女子ゴルフは若手の活躍が目立った。山下美夢有(みゆう、21)が最多タイの5勝で最年少の年間女王に輝き、メジャーを含む2勝の川崎春花(19)、ツアー2勝の岩井千怜(ちさと、20)、1勝の尾関彩美悠(あみゆ、19)といった新星が登場した。日本女子プロゴルフ協会の小田美岐専務理事(63)が22日までに取材に応じ、近年の若手躍進について、相乗効果やデータ化などの要因を分析した。(構成・岩原 正幸)

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 20年度プロテスト合格の岩井千が8月に史上3人目の初優勝からのツアー2連勝を果たした。9月の日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯では最終日に64と猛追した、1世代下の川崎が劇的な初優勝。翌週には尾関が初Vと2週続けてルーキーの初優勝者が誕生した。

 小田氏「川崎さんが印象的な勝ち方をし、みんなが『私も勝っていいんだよね』と思い始め、相乗効果が大きかったと感じます」

 昨季は稲見萌寧が賞金女王、今季は山下が21歳103日で最年少年間女王となった。古江彩佳、西村優菜の2000年度生まれ「ミレニアム世代」など、早い時期からの活躍が目立つ。

 「ここ何年かシンデレラの誕生が続いています。かつては終盤に顔がこわばる場面をよく目にしましたが、今の選手は全くありません。若い人は緊張したことがあるのかとさえ思います」

 山下が早くから弾道測定器を使用して力をつけたように、データ化が進む。課題の早期解決が練習時間の短縮にもつながるという。

 「ゴルフを科学で考える時代に入りました。ピンポイントでやりたい練習がより厚くでき、それが上達の早さにつながり、若手の活躍に拍車をかけています」

 以前は有望な選手が海外に行くことで国内ツアーの“空洞化”が心配されたが、次々にヒロインが出てくる状況を前向きに捉えている。

 「サッカー、テニスなど海外に行った選手が活躍する競技は、皆さんが注目してくれます。アマチュアでは馬場咲希さん(17)が全米女子アマを勝ち、そういった選手がナショナルチーム(日本代表)で育ち、プロのツアーにも出ています。黄金世代(98年度生まれ)が宮里藍さんに憧れたとすると、今の小学生くらいの子たちが渋野(日向子)さんに憧れ、これから出てきそうな気がします」

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