山下美夢有の女王魂 東京五輪柔道女子金・阿部詩から影響 パリへ「特別な大会。出たいと思った」


ミニチュアのシーサーを両手に笑顔を見せる山下美夢有(カメラ・今西 淳)

ミニチュアのシーサーを両手に笑顔を見せる山下美夢有(カメラ・今西 淳)

◆女子プロゴルフツアー開幕戦▽ダイキンオーキッドレディス プロアマ(1日、沖縄・琉球GC=6590ヤード、パー72)

 女子プロゴルフツアー今季開幕戦のダイキンオーキッドレディスは2日から4日間、沖縄・琉球GC(6560ヤード、パー72)で開催される。今季から米女子ツアーに本格参戦する通算8勝の勝みなみ(24)=明治安田生命=は、「米ツアー1勝」を目標に据えつつ、国内3連戦で弾みをつける。ツアー最年少で、史上6人目(1988年のツアー制施行後)となる2年連続女王に挑む山下美夢有(みゆう、21)=加賀電子=は、24年パリ五輪日本代表入りへの意欲も示した。

 年間女王として乗り込んだ沖縄で、山下に慢心はなかった。前回4位と好成績を残した大会だが、あくまで2023年のスタート地点。「(開幕日の)ティーグラウンドで緊張すると思う」と苦笑いしつつ、「去年は去年、今年はまた一から。予選を通過して、上位で戦えるようにしたい」と決意を新たにした。

 昨季は一気に主役の階段を駆け上がった。メジャー2勝を含むツアー5勝を挙げ、21歳103日で最年少女王に輝いた。獲得賞金で2億円を突破したのも最年少で、単年シーズンでは日本人初の快挙だった。「本当に想像していなかった」と、本人も驚くほどの記録を並べたシーズンだった。

 向上心にも火が付いた。このオフはショートゲームを磨いてきた。「しっかり打てないと傾斜で負けて、思った通りのラインに打てないと思う」。さらなる技術向上にも着手し、今季開幕戦を迎える。

 そのオフ期間に、もう一人の女王が山下の目に留まった。昨年12月、テレビ番組企画で柔道のグランドスラム東京大会を観戦。東京五輪女子52キロ級金メダリスト・阿部詩(22)の試合を見守り、言葉もかわした。24年パリ五輪で2連覇に挑む阿部から「目標に向かってやっている姿は皆さんに感動を与える。私もゴルフで感動を与えられるようになりたい」と刺激を受けた。同時に「五輪は特別な大会。出たいなと思った」と自身も日の丸を背負う意欲をかき立てられた。

 ツアー史上最年少、6人目となる2年連続女王へ。「悪いイメージはない。思い切ってプレーします」。乗り越えるべき壁は昨季の自分だ。(瀬川 楓花)

◆山下が昨季達成した記録

 ▽最年少女王 21歳103日での戴冠となり、1988年のツアー制施行後では07年賞金女王・上田桃子(21歳156日)を更新。

 ▽最多年間獲得賞金 2億3502万967円で、15年のイ・ボミ(韓国)の2億3049万7057円を更新。コロナ禍のため、統合となった20―21年シーズンの稲見萌寧は1季を通じて2億5519万2049円だったが、単年では2億2691万8833円(21年)だった。

 ▽年間平均ストローク60台 史上2位。日本人では初の60台となる69・9714。歴代1位は19年の申ジエの69・9399。昨季はパーセーブ率(90・4835)、パーオン率(75・1543)、60台ラウンド数(50回)なども1位。

 ◆女子ゴルフのパリ五輪への道 24年6月24日時点の世界ランクを基準に算定する五輪ポイント上位60人が出場権を得る。(1)同ランク15位以内は各国・地域で最大4人(2)16位以下は(1)の有資格者を含めて最大2人。2月27日付ランクでは畑岡が10位、山下が25位で代表圏内。稲見は古江、西郷、笹生に続く日本勢6番手。大会は24年8月7日から4日間、フランス・ル・ゴルフナショナルで、72ホールストロークプレーの個人戦で争われる。

 ◆山下 美夢有(やました・みゆう)2001年8月2日、大阪・寝屋川市生まれ。21歳。5歳から父の影響でゴルフを始め、大阪桐蔭高3年時の19年に全国高校ゴルフ選手権で優勝。同年11月のプロテストに合格し、21年4月のKKT杯バンテリンレディスで初優勝。22年5月のワールドレディスサロンパスカップでメジャー初V。昨季は最年少で年間女王、最優秀選手賞に選出された。ツアー通算6勝。150センチ、52キロ。家族は両親と弟、妹。

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