
12番でコースを見つめる(左から)金谷拓実と石川遼(カメラ・馬場 秀則)
◆男子プロゴルフツアー開幕戦 ▽東建ホームメイトカップ 第1日(30日、三重・東建多度CC名古屋=7062ヤード、パー71)
昨季3年ぶりのツアー優勝を飾った石川遼(31)=カシオ=は6バーディー、2ボギーの4アンダー67で回り、首位に3打差の10位で開幕戦をスタートした。予選ラウンド同組で64をマークし首位発進を決めた金谷拓実(24)=Yogibo=とは、互いを認め合う“相思相愛”の仲。シーズン初戦から、優勝争いでツアーを盛り上げる。2018、19年賞金王の今平周吾(30)=ダイヤゴルフ=も7アンダーで首位に並んだ。
* * *
シーズン最初のラウンドの最終9番、8メートルを沈めてバーディーで締めた石川は右拳を握った。残り110ヤードからチャンスにつけられなかったショットの精度に不満は残るが、グリーン上で「1打」を削ってみせた。「すごくいいバーディーという感じではないけど。自分が思っているよりは悪くないゴルフだったのかな」。昨年まで2年連続予選落ちの大会で、3打差10位と上々のスタートを切った。
ボギーが先行した直後の12番パー5。第1打は「ほぼ完璧」なドライバーショットでフェアウェーへ運んだ。3ユーティリティーでの第2打をグリーン右に大きく曲げるも、ピン左3メートルのカラーからバーディートライを沈めた。「11番で先にボギーが来てからの12番だったので、流れという意味でも、落ち着いたという意味でもよかった」と言いつつも、「もう少し、いいバーディーの取り方ができた」と反省の言葉が口をついて出た。
力んでしまいがちな開幕戦だが、平常心を失うことはなかった。「すごくマインド的にはよかった。すごく楽しかったし、むちゃくちゃ気合が入って普段と違ったことをやってしまうということもなかった」。予選ラウンド同組で首位発進の金谷の存在も大きい。ラウンド後には「リズムがよくて回りやすい」と、互いにラブコールを送り合った。
金谷から「スター」と尊敬のまなざしを向けられた石川も、7歳下の後輩をたたえた。「僕はそもそも金谷選手のファン。本当に見ていて楽しい」とうれしそうに切り出した。「勝負師としてのスピリットも金谷選手からすごく感じる。(一緒に)優勝争いは、ほとんどしたことがないので、僕が上位にいけるように頑張ります」。21年大会覇者の金谷に食らいつき、ツアー19勝目をたぐり寄せる。(高木 恵)