◆男子プロゴルフツアー 中日クラウンズ 第3日(29日、愛知・名古屋GC和合C=6557ヤード、パー70)
石川遼(31)=カシオ=が4番パー3で自身ツアー4度目(日米で計6度目)となるホールインワンを達成した。昨年大会第3日の7番でもエースを決めており、1985年以降でツアー史上3人目の同一大会で2年連続の達成となった。この日は67で回り、通算5アンダーで13位から首位と6打差6位に浮上。2010年覇者は逆転で19勝目を狙う。星野陸也(26)=興和=が11アンダーで単独首位をキープした。
千両役者が屈指の難コースで2年連続ホールインワンの離れ業をやってのけた。1、2番と幸先良く連続バーディー発進で迎えた4番だ。石川が放った8アイアンのショットはピン右手前5メートルから転がりカップに消えた。「狙ったところに落とせた。すごく良かった」。同組の中島啓太(22)と抱き合って喜ぶと、観客の拍手の中、気持ちよさそうに歩を進め、カップから拾い上げたボールをファンに投げ入れてプレゼントした。
後半は12番で左ラフから放った第2打が上空を飛んでいた鳥に当たった可能性もある。「真っ黒の鳥。打った瞬間に横切って、かすったような音も聞こえた。びっくりしてバサバサっていった音かもしれない」。このホールをバンカーに入れ、ボギーとし「(もし当たっていたら)“バードボギー”ですね。バーディーじゃなくて」とおどけた。
ホールインワンは昨年大会の第3Rでの7番に続き2年連続。自身ツアー4度目で、米国の2回、プライベートの2回を含めて8回となり「こんなにするゴルフ人生だと思っていない。想定外」と驚きを隠せなかった。この日、左サイドにピンが切られた4番ホールの難しさを「逃げ場がない。4日間ともグリーンに乗ったら100点満点」と説明した。
上位に離されかけた最終18番はピン上3メートルからバーディーパットを沈め、小さく拳を握った。首位と6打差につけ、18歳だった2010年大会の最終日に当時世界最少ストロークで現在も国内ツアー記録の「58」を出して以来となる13年ぶり大会Vに望みをつないだ。「より良い終わり方ができた。バックナイン(最終日の後半9ホール)で可能性のある位置でプレーしたい」と気合十分だ。ホールインワンの勢いに乗り、石川が和合で再び伝説を作る。(岩原 正幸)
◆石川のホールインワン
▽日本ツアーで4度目 2022年の中日クラウンズ第3R・7番ホール以来。他に米ツアーで2度(13、15年)。
▽詳細な記録が残る1985年以降で615例目 複数回の達成者は127人。
▽4回達成は史上16位タイ 過去最多は羽川豊、井戸木鴻樹の7回。
▽同一大会2年連続達成は3例目 89、90年ダイワKBCオーガスタの安田春雄、03、04年三井住友VISA太平洋マスターズの尾崎直道がいる。
◆石川の最終日逆転優勝 ツアー通算18勝のうち7勝。打差数、順位ともに最大は6打差18位から「58」を記録して逆転した2010年・中日クラウンズ。昨年11月の三井住友VISA太平洋マスターズは3打差2位から69で回り、プレーオフを制した。