岩井千怜が史上初双子PO制す 母の日に今季初V「信じられない。こんなにすごいことが起きていいのかな」


プレーオフを制して優勝し、双子の姉・明愛(左)と抱き合う岩井千怜(カメラ・渡辺 了文)

プレーオフを制して優勝し、双子の姉・明愛(左)と抱き合う岩井千怜(カメラ・渡辺 了文)

◆女子プロゴルフツアー RKB×三井松島レディス 最終日(14日、福岡CC和白C、6299ヤード、パー72)

 4打差7位から出た岩井千怜(ちさと、20)=ホンダ=がこの日最少の65で回り、通算11アンダーで並んだ双子の姉・明愛(あきえ、20)=ホンダ=、山下美夢有(21)=加賀電子=との3人のプレーオフ(PO)を2ホール目で制した。双子のPOは、国内男女ツアーを通じて初という歴史的な一戦を制して今季初、通算3勝目。同一シーズン姉妹ツアー優勝も初めて。見守った母・恵美子さん(48)に贈る最高の“母の日V”を喜んだ。

 8歳でともにゴルフを始めた双子が、国内最高峰のツアーの舞台で優勝を懸けて争った。496ヤードの18番で行われた三つどもえのPO2ホール目。岩井姉妹2人はともに残り240ヤード付近からの第2打でドライバーを握った。積極的な攻めの“直ドラ”の末、千怜はグリーン手前まで運んだ。ピンまで12ヤードからの3打目を2メートルへ寄せ、3人で唯一バーディーパットを沈めると右手を青空に突き上げた。

 「信じられない。こんなにすごいことが起きていいのかな。夢にまで見た(姉妹の)プレーオフ。夢なのか、現実なのか。楽しんでいた自分がいた」。正規の18ホールは7バーディーで65。4差を追いつき「全力を出し切っていたので、よくまたプレーオフをやり切ったな」と自身をたたえた。

 喝采を浴びた“直ドラ”の場面について「アマチュアの時からもやったことがない。明愛がドライバーを持ったので。ファンの皆さんを楽しませたいと思って(自分も)選んだ」と笑顔でプロ魂を口にした。今季は2位2回と惜しい試合が続き「本当に欲しい1勝目がこのような形でできてうれしい」と声を弾ませた。前週後は、姉妹で指導を受ける男子プロの牧野裕氏(67)から精神面の助言を受け、「いい効果が出ました」と感謝した。

 母の日にVをささげた。母・恵美子さんは会場で「最高のプレゼントです」と喜んだ。娘たちのPOに「どっちが勝っても負けても複雑な気持ちで見ていた」と率直に語った。元看護師の母に、千怜は「仕事で忙しいのに帰ってきたらご飯を作ってくれたり、私たちの世話をしてくれて、たくましい」と懐かしんだ。

 これまで姉妹は「夢は最終日最終組で優勝争い」と公言していたが、それを超える、ジュニア時代からもない双子姉妹でのPO決戦をやってのけた。4月に初優勝した姉に続き、ツアー初の同一シーズン姉妹Vも達成。千怜は「母の日に優勝できて最高のプレゼントができた。4勝目を目指して頑張ります」と歴史的な一日をかみしめた。(岩原 正幸)

 ◆女子ツアーの姉妹V 

 ▽岩井姉妹 姉・明愛が1勝、千怜は3勝。同一シーズンでは史上初

 ▽福嶋姉妹 姉・晃子が1994~2010年に24勝、浩子は16年に1勝

 ▽堀姉妹 姉・奈津佳は13年に2勝、琴音は21年と22年に各1勝

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