史上初のジュニアゴルフ世界4大メジャーのグランドスラムを達成し「天才少女」と呼ばれる須藤弥勒(12)=ゴルフ5=が7日、宮城・大崎GC三本木Cで行われたプロパッティングツアー第26戦で劇的な優勝を飾った。6月の第13戦に続いて今季2勝目。優勝賞金10万円を獲得し、賞金総額300万円をかけたツアー最終戦の全日本選手権(11月18日、兵庫・新宝塚CC)の出場が決定した。
パッティングツアーは、その名の通り、パットだけのグリーン上の勝負。約2メートル~約20メートルの距離で18ホールが設定され、パー36の予選ラウンドを行う。上位6人(首位と2打差以内)が予選ラウンドの成績を持ち越して3ホールの決勝ラウンドで最終順位を決める。弥勒は将来を見据えてパットの技術を磨くため、2年前から同ツアーに参戦している。
今大会で弥勒は予選ラウンドを2位に1打差をつけてトップ通過。しかし、決勝ラウンドでスコアを落とし、プロコーチとしても活躍する菅原大地らに追いつかれた。そして、迎えたサドンデスのプレーオフ。20メートルの超ロングパットをねじ込み、劇的な優勝を飾った。
「最後のパットは予選ラウンドでスコアを落としていた下りのスライスラインでしたけど、ここで勝負に行きました。ラインを薄く読み、強めに打ちました」と会心の一打を満面の笑みで振り返った。
今大会に帯同している母・みゆきさんは「夫(弥勒の父・憲一さん)と血のにじむような猛練習を耐え抜いて、それが結果に結びついて本当に良かったです」と涙を流しながらに話した。
22年にアマ資格の規定が大幅に改定され、アマチュアゴルファーも無制限でスポンサー収入を得ることが可能になったため、弥勒のもとにはスポンサーからオファーが殺到。所属契約のゴルフ5をはじめ、12社・団体とスポンサー契約を結んだ。また、アマ規定の改定によって、ドライビングコンテストやパッティング大会などでアマチュアは上限なしで賞金を得ることも可能になった。
「スポンサー料は弥勒のゴルフのために使う」という憲一さんの方針で群馬・太田市内の自宅に1000万円以上をかけて最新鋭システムの練習場を完成させた。
ただ、プロパッティングツアーでゲットした優勝賞金10万円は、ご褒美として弥勒の自由に使えることになっている。「何を買うか、楽しみです。お兄ちゃん(桃太郎君)と弟(文殊君)と相談します」と弥勒は小学生の素顔になって話した。賞金総額300万がかかる全日本選手権に勢いに乗って臨む。
◆須藤 弥勒(すとう・みろく)2011年8月6日、群馬・太田市生まれ。12歳。1歳からゴルフを始め、東大出身の父・憲一さんの緻密な指導を受ける。17年に大会史上最年少で世界ジュニアに優勝。18年も連覇した。19年にマレーシア世界選手権、21年にキッズ世界選手権、22年6月にジュニア欧州選手権優勝し、ジュニアゴルフ界の4大メジャーを制覇。昨年8月に横峯良郎氏に弟子入り。昨年、アマチュア資格の規定が大幅に改定され、アマチュアゴルファーも無制限でスポンサー収入を得ることが可能になったことで所属契約のゴルフ5をはじめ、12社・団体とスポンサー契約した。ピアノも得意で今年7月の第24回北関東ピアノコンクールのプレコンペティション部門(ソロ)小学校6年生の部で銀賞を受賞。家族は父、元フィギュアスケート選手でピアニストの母みゆきさん、兄・桃太郎君、弟・文殊君。150センチ、50キロ。