
プロパッティングツアー全日本選手権で優勝を逃し、天を仰ぐ須藤弥勒(提供写真)
賞金総額300万円(優勝100万円)をかけたプロパッティングツアー最終戦の全日本選手権の最終日が19日、兵庫・新宝塚CCで行われ、推定総額3億6000万円のスポンサー契約を結ぶ「ゴルフ天才少女」須藤弥勒(12)=ゴルフ5/太陽自動車=は7位に終わった。
* * * * *
弥勒は第1日(18日)の予選2ラウンドでは首位と3打差3位と好発進したが、最終日に行われた予選の第3ラウンドで5位に後退。上位10人が進める決勝ラウンドには進出したが、7位にとどまり、上位5人だけで争われるファイナルステージには進めなかった。優勝した男子プロの廣田直人(21)、男子レギュラーツアー1勝で今大会3位の菊池純(49)ら実力者に敗れた。
パッティングツアーは、その名の通り、パットだけのグリーン上の勝負。弥勒は「優勝賞金の100万円を取りたい!」と逆転優勝に向けて意欲満々で最終日に臨んだが、その姿勢が裏目に出た。決勝ラウンドの1、2ホール目を痛恨の連続4パットで自滅。「トップとの差を縮めようとして、狙いすぎました」と天を仰ぎながら話した。
それでも、成長した姿は見せた。一昨年は全く歯が立たずに予選落ち。昨年は14位。今回は7位まで順位を上げた。「プロパッティングツアーは年々、レベルが上がっています。グリーン上の勝負であれば女子プロのレギュラーツアーと比べても遜色ない。この経験が近い将来に生きるでしょう」と父・憲一さんは前向きに話した。
昨年1月にアマ資格の規定改定によってアマ選手も無制限でスポンサー収入を得ることが可能になり、抜群の存在感を持つ弥勒にはオファーが殺到。これまでに所属契約のゴルフ5をはじめ、12社・団体とスポンサー契約した。今月には弥勒の自宅がある群馬・太田市に本社を置く太陽自動車と所属契約を締結。ゴルフ5と所属契約も続行するため異例のダブル所属となった。関係者によると、全てのスポンサーの契約料を合計すると3億6000万円に上る。「スポンサー料は弥勒のゴルフのために使う」という父・憲一さんの方針で、自宅の屋内ガレージには、1000万円以上を投資し、弾道測定器2台、多方面から撮影するカメラ5台、弾道などを即時に解析できる最新鋭の機器が設置された。
昨年のアマ規定の改定によって、ドライビングコンテストやパッティング大会などでアマチュアは上限なしで賞金を得ることも可能になった。弥勒は両親との約束で、プロパッティングツアーで獲得した賞金は自由に使えることになっている。今大会では7位の賞金10万円を獲得した。
「私のお小遣いは月に1000円なので、10万円も獲得できてうれしいです。でも、本当は100万円を獲得して買いたいものがありました。10万円の使い道は、また、後日、お伝えします」。弥勒はコースを後にする時には、ほほえみを浮かべて話した。破天荒な12歳の挑戦は続く。
◆須藤 弥勒(すとう・みろく)2011年8月6日、群馬・太田市生まれ。12歳。1歳からゴルフを始め、東大出身の父・憲一さんの緻密な指導を受ける。17年に大会史上最年少で世界ジュニアに優勝。18年も連覇した。19年にマレーシア世界選手権、21年にキッズ世界選手権、22年6月にジュニア欧州選手権優勝し、ジュニアゴルフ界の4大メジャーを制覇。昨年8月に横峯良郎氏に弟子入り。昨年、アマチュア資格の規定が大幅に改定され、アマチュアゴルファーも無制限でスポンサー収入を得ることが可能になったことで所属契約のゴルフ5をはじめ、13社・団体とスポンサー契約した。ピアノも得意で今年7月の第24回北関東ピアノコンクールのプレコンペティション部門(ソロ)小学校6年生の部で銀賞を受賞。家族は父、元フィギュアスケート選手でピアニストの母みゆきさん、兄・桃太郎君、弟・文殊君。150センチ、50キロ。