石川遼3度目の「アレ」へ「完璧に近い内容だけど、まだまだ」大会自己最少62で2打差3位に急浮上


第3日、18番でパーパットを決め、歓声を受けながらガッツポーズの石川遼。通算11アンダーで3位(カメラ・竜田 卓)

第3日、18番でパーパットを決め、歓声を受けながらガッツポーズの石川遼。通算11アンダーで3位(カメラ・竜田 卓)

◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー メジャー最終戦 日本シリーズJTカップ 第3日(2日、東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)

 2015、19年大会覇者の石川遼(32)=カシオ=が、猛チャージで首位と2打差の3位に急浮上した。8打差9位から出て1イーグル、7バーディー、1ボギーで、10年に並ぶ大会自己最少62をマークして通算11アンダーに伸ばした。逆転での3度目Vを視界に捉えた驚異の底力を高木恵記者が「見た」。2位から出た蝉川泰果(22)が66、今季賞金王の中島啓太(23)=ともにフリー=が68で回り、通算13アンダーで首位。

 東京よみうりCCに、大歓声がとどろいたのは午前10時過ぎ。「ウォ~ッッッ!!!」。ちょうど最終組が1番ティーグラウンドに立った頃だった。ギャラリーがあちこちで「遼じゃない!?」「石川だ!」と声を上げた。3番パー4。残り136ヤードから9アイアンを振った第2打は、ピン手前5メートルから転がりカップに消えた。

 ショットインイーグルを決め、石川はスッと右手を上げて歓声に応えた。今季ベストスコアで、大会では10年第2ラウンドに並ぶ62。「今年もっとこういうラウンドができても良かったが、なかなかできなかったのでうれしい」。今季最終戦で優勝争いに割って入った。

 5番で4メートル、6番で6メートル、7番は2メートル半を沈め3連続バーディーを奪い加速。スタートから7ホールで6つスコアを伸ばしながら、表情一つ変えずに一打に向き合い続けた。右手を振り下げ、感情を大きくあらわにしたのは12番。「入っていなかったら2メートルはオーバーしていた」という20メートル近いバーディーパットを決めた時だけ。以前の周囲をハラハラ、ドキドキさせる“劇場型”の石川とは違う。

 ホールアウト後に「完璧に近い内容だけど、悔しいところは2つある。90点。まだまだ」。やはり反省の言葉が口をついた。ビッグスコアにも、うれしさよりも悔しさが勝った。グリーンを外した9、16番の第2打。ともにパーをセーブしたが、結果オーライとはいかない。「内容だったり再現性だったり。もっと意味を持った8アンダーにしたかった」と課題を挙げた。劇的な一打より、確信のある一打を追い求めている。

 今季の最終日最終組は開幕戦以来2度目。賞金王の中島、同ランク3位の蝉川と大会史上(データの残る1985年以降)最も若い平均年齢25・7歳の最終日最終組となった。賞金ランク1~4位と石川の5人という豪華メンバーが上位に顔をそろえた。「啓太と泰果がいて拓実、永漢がいるところに名前が並んでいるのは今年できなかったこと。明日後半、アレを争えるところにいたい」。声は弾んだが、あえて「優勝」の2文字は口にしなかった。

 史上7人目の大会3勝を懸けて2打差を追う。この日、石川組についていた老夫婦が言った。「こういうゴルフを見ていると元気が出るねえ」。見ている人にエネルギーを与える09年賞金王・石川と、中島との新旧キング対決。「今年最後の一日なので頑張りたい。今日よりも自分の中で点数の高いラウンドを目指したい」と石川。第60回大会のフィナーレを飾るにふさわしいエンディングが待っている。(高木 恵)

 ◆日本シリーズJTカップの最終日逆転劇 過去59回のうち23回が、最終日の逆転優勝で決着した。昨年も、4打差5位から65で回った谷原秀人が連覇を達成した。最大は7打差で2度。〈1〉1989年大会で大町昭義が4アンダーの4位からベストスコア66をマークし、75だった中嶋常幸を2打差で逆転〈2〉94年大会で佐々木久行が9アンダーの3位からベストスコア66で回り、74だった尾崎直道を1打差で逆転した。

最新のカテゴリー記事