中島啓太、1打届かず完全V逃すも「蝉川選手と最後までやり合えたので楽しかった。後悔はしていない」


優勝した蝉川(右)と健闘をたたえ合う中島

優勝した蝉川(右)と健闘をたたえ合う中島

◆報知新聞社主催 男子プロゴルフツアー メジャー最終戦 日本シリーズJTカップ 最終日(3日、東京よみうりCC=7023ヤード、パー70)

 首位で出た今季賞金王の中島啓太(23)=フリー=は3バーディー、2ボギーの69で回り、通算14アンダーで、蝉川泰果(22)=フリー=に1打及ばず2位。完全優勝はならなかったが、最終日最終ホールまで優勝争いに加わり、今季最終戦を盛り上げた。今週中に渡米し、来季米ツアーと下部ツアー参戦をかけた最終予選会(14~17日、米国)に挑む。

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 時が止まったかのように、中島は立ち尽くした。17番パー5。1メートル半のスライスラインのバーディーパットは、カップに蹴られた。蝉川に許した1打のリードが、そのまま試合を決した。「ずっと冷静にいいプレーができていたし、本当に17番だけ。いいゴルフができたし、蝉川選手と最後までやり合えたので楽しかった。後悔はしていない」。同学年の勝利を素直にたたえた。

 しぶとくパーを拾いながら、10番で4メートルをねじ込み蝉川を捉えた。一喜一憂することなく、中島は丁寧に一打を重ねた。「自分との闘いには勝てたと思う」と語った最終日。後半はラインは読めていながら、タッチが強めに出てしまう場面が多かった。17番を「その流れのまま強く打ってしまった」と振り返った。

 賞金王を決めて迎えた最終戦で、初日から3日目まで首位を守り大会を盛り上げた。「毎日スタートホールを最終打者として打てた。負けてしまったけど、しっかり責任と自覚を持ちながらプレーできた」。藤田寛之が3連覇を達成した2012年大会を観戦した。あの日と同じ大勢のギャラリーがコースサイドを埋めた。「小学生の時に見ていた、そのままの光景のスタートホールに立てて幸せだった」

 3勝を積み上げた今季だが「それより1年間最高のライバルと賞金王争いができたことが一番うれしかった。いい一年だった」。金谷拓実との賞金王レースも、中島をまた強くした。休む間もなく、来季米ツアーと下部ツアー参戦をかけた最終予選会に向かう。「いい準備をして気持ちを切らさずに、もう1試合頑張りたい」。18番で蝉川を祝福した中島は、グリーン上で脱帽し、ギャラリーに向かって深く一礼した。感謝の気持ちと覚悟を胸に、海を渡る。(高木 恵)

 ◆かつてはAON時代 男子ゴルフ界は青木功(73年以降で51勝)、尾崎将司(同94勝)、中嶋常幸(同48勝)の3強が長きにわたり時代を支えた。85~92年の日本オープンの優勝者には3人の名前しかない。今大会では、今季賞金ランク1~3位の20代3人(中島、蝉川、金谷)が上位3人を占めた。

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