◆女子プロゴルフツアー スタンレーレディスホンダ 最終日(6日、静岡・東名CC=6610ヤード、パー72)
首位から出たプロ3年目の佐藤心結(みゆ、21)=ニトリ=が涙の初優勝を飾った。5バーディー、1ボギーの68をマークし、大会記録に並ぶ通算15アンダー。アマチュアだった2021年にプレーオフで19年AIG全英女子オープン覇者の渋野日向子(25)=サントリー=に敗れた大会で、雪辱を果たした。03年度生まれの「ダイヤモンド世代」では、今季7勝の竹田麗央(りお、21)=ヤマエグループHD=らに続く6人目の優勝者となった。
3年前に流した悔し涙を、うれし涙に変えた。天に両手を突き上げた佐藤は、思い切り泣いた。「勝てたことが信じられなかった。ようやく解放された。一気に肩の荷が下りた」。さまざまな感情が一気にこみ上げた。「ずっと足がガクガクだった」という最終ホール。グリーンを下りると同学年の竹田、川崎春花の姿があった。祝福に駆けつけた2人の顔を見ただけで、また涙腺が緩んだ。
2番でボギーが先行し、前半終了時の首位との差は3打。「正直厳しいと思った」が、11番のバーディーで再び闘志に火がついた。河本結、尾関彩美悠との最終組三つどもえの優勝争い。14番で5メートルを沈め、16番はチップイン、17番では10メートルをねじ込み、4連続バーディーで逆転した。高校3年だった21年大会は4人によるプレーオフの末に渋野に敗れた。「思い入れのあるコースと思い入れのある大会で初優勝することができて、うれしい」。特別な舞台でリベンジを完遂した。
夏までの22試合で予選落ちが17度だった今季、転機は8月に訪れた。ツアー7勝の米山みどり(48)から助言を授かった。「素振りと実際のスイングとのギャップがありすぎる。同じ足の動きを意識すること」「パッティングでフォローをしっかり意識すること」。指摘を受けた2点を心がけたところ、ゴルフの内容が「びっくりするくらいガラッと変わった」という。
同じ03年度生まれは竹田が7勝、川崎春花が5勝。プロ3年目にして、ダイヤモンド世代6人目のツアー優勝者となった。「みんな切磋琢磨(せっさたくま)してやってきている。本当に宝物」とほほ笑んだ。メルセデスランクでトップを独走する竹田の存在は特に大きい。「全然もうかけ離れたところにいるけど、麗央に少しでも近づきたい」。向上心を刺激する存在に感謝し、次の勝利へ鍛錬を続ける。(高木 恵)
◆佐藤心結(さとう・みゆ)
▼生まれ 2003年7月21日、神奈川・小田原市生まれ。21歳
▼ゴルフ歴 7歳で祖父の影響で始める。中学では陸上と並行して励み、19年に地元を離れて茨城・明秀学園日立高へ進学
▼戦績 21年日本女子アマで3位、22年にプロ転向。メルセデスランクは22年が29位、23年が39位でシードを獲得
▼運動神経抜群 小5でソフトボール投げ44メートルを記録。スポーツ歴はサッカー、陸上の砲丸投げ
▼趣味 ゲームとトレーディングカード集め。「ポケカとかドラゴンボールとか。コレクション系にはまっている」
▼かまぼこ大使 小田原の老舗・鈴廣かまぼこの大使を務める
▼憧れの選手 畑岡奈紗とリディア・コ(ニュージーランド)
▼得意クラブ ドライバー
▼サイズ 161センチ、57キロ
▼家族 両親と兄