「ゴルフは自分の中の教科書」第一線退く上田桃子の次なる野望 ツアーに戻る可能性「今はない」


明るい表情でプロアマ戦をラウンドした上田(カメラ・相川 和寛)

明るい表情でプロアマ戦をラウンドした上田(カメラ・相川 和寛)

 ゴルフの2007年賞金女王で通算17勝の上田桃子(38)=ZOZO=が7日、伊藤園レディスが8日から行われる千葉・グレートアイランドCで記者会見し、今季限りで第一線から退く意向を明らかにした。プロ生活20年目の節目を迎えた今季終盤に「次の人生を考えた時、年齢的なことを含めて今かな」と決断。今後は後進の指導にも興味を示した。今季は現状で今大会含め残り2戦。最終戦のメジャー、JLPGAツアー選手権リコー杯(21日開幕・宮崎)の出場権をつかみ、有終の美を飾る決意を示した。

 桃子はすっきりした表情で「そろそろ次のステップに行く時期がきた」と静かに語った。3日に自身のSNSで「2024年シーズンを持って突っ走ってきた足をいったん止めてみようかと思う」とつづった心境を会見で語った。

 今季は4位を最高に10位以内が3度。まだまだトップレベルだが、「人生は長く、ゴルフが人生にならないように。ゴルフで学んだことを人生に生かしたい」と決断した理由を明かした。

 30歳を過ぎ、一年一年が勝負になり、「毎年合宿を始める前に一年やれる心技体があるのか、いつも考えていた」という。21年6月15日の35歳の誕生日には同い年の一般男性との結婚を発表した。第一線から退く決断をしたのは通算60度目のメジャー出場となった9月末の日本女子オープン(30位)の後。悲願のメジャーのタイトルには届かず「次の人生を考えた時、年齢的なことを含め、今かなと思った」。

 07年に5勝し、21歳156日で福嶋晃子(96年、23歳148日)を抜いて当時の最年少賞金女王に輝いた。翌08年から13年途中まで米ツアーを経験。「苦労という苦労を知らず強い気持ちでやれていたが、米国でたくさん失敗も経験してなかなか思うようにいかなかった」。それでも「うまくなりたい気持ちがいつもあった」と向上心を忘れず「逃げずに正面から向き合うことで成長できた。常に学びのゴルフ生活だった」と振り返った。

 国内は通算448試合に出場。「ゴルフは自分の中の教科書。楽しい時間よりきつい時間がほとんど。心の底から笑えるのは、勝った時くらい」と言った。今後については「理論的な部分を勉強して、後輩やジュニアの指導にも興味がある」。一方でツアーに戻る可能性は「本当に分からないが、今はそういう気持ちはない」と否定し、「引退という言葉は使わない」と強調した。

 今季は現状で残り2戦。最終戦のメジャー、JLPGAツアー選手権リコー杯(21日開幕)の出場権はないが、ポイントランクを38位程度に浮上させれば出場も見えてくる。「本能的なものも含め、技術ではない部分で戦いたい。最終戦に出られるように頑張りたい」。勝っては泣き、負けては涙を流す激情型のゴルファーは、最後まで全力で駆け抜ける。(岩原 正幸)

 ◆女子プロと引退 引退を表明しても国内ツアーでは主催者推薦などで復帰できる。「引退」と掲げなかった例では、通算9勝の諸見里しのぶさんが19年11月に「ツアー撤退」を発表。後に主催者推薦で21、22、24年に大会に出場している。「引退」を表明した例では11年10月の08年賞金女王・古閑美保さん、17年5月の日米通算24勝・宮里藍さんがおり、ともに復帰はしていない。

 ◆上田 桃子(うえだ・ももこ)1986年6月15日、熊本市生まれ。38歳。東海大二(現東海大熊本星翔)高卒。9歳の時、坂田塾でゴルフを始める。2005年のプロテストに合格し、同年の新人戦で優勝。07年に日本開催の米ツアー、ミズノクラシックを含む年間5勝を挙げ、21歳で当時の最年少賞金女王。08~13年は米ツアーが主戦場。国内17勝。21年の誕生日に結婚。161センチ、54キロ。

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