「石川家にとって、すごくいい日」石川遼、航と開幕戦初の兄弟首位発進 両親、妹も駆けつける


10番、ティーショットを放つ石川遼(カメラ・渡辺 了文)

10番、ティーショットを放つ石川遼(カメラ・渡辺 了文)

◆男子プロゴルフツアー開幕戦 東建ホームメイトカップ 第1日(10日、三重・東建多度CC名古屋=7069ヤード、パー71)

 国内男子ツアーが開幕し、昨年2勝の石川遼(33)=カシオ=とプロ5年目の弟・航(わたる、25)=フリー=が65で回り、6アンダーで首位に並んだ。兄弟が首位で並ぶのは1997年11月のカシオワールドオープン初日の尾崎兄弟(兄・将司、弟・直道)以来、28年ぶりで、開幕戦では初めて。ツアー20勝の兄とツアー最高51位の弟が、昨年プロで初めて同組で回った思い出深い大会でいきなり存在感を示した。石坂友宏(25)=都筑電気=も首位に並んだ。

 桜満開のスタートだ。弟の航とともにトップで初日を終えた33歳の兄・遼は喜びを隠せず「石川家にとって、すごくいい日。うれしい」とはにかんだ。7バーディーを奪取して、23年日本プロ選手権以来の首位発進。兄弟が首位に並ぶのは尾崎兄弟以来、28年ぶり。開幕戦ではツアー史上初。7バーディーを奪取した遼も、23年7月の日本プロ選手権以来、シーズン開幕戦ではプロ18年目で自身初の首位発進だ。先にホールアウトした弟と並ぶ首位。着用した桜色のウェアが映える一日となった。

 2つのパー3がキーポイントとなった。10番から出て2バーディーを積み重ね、迎えた13番。6アイアンで振り抜いた一打はピン右から傾斜を伝い、ピン奥50センチにピタリ。3番でも6アイアンを握り、ピンそば2メートルにつけた。「あり得ないところに乗った」と自身も驚くスーパーショットでスコアを伸ばした。

 石川一家も総出だ。両親、妹の葉子さん(28)は弟の組に同行。ホールアウト後、家族と顔を合わせた遼は、開口一番「航、すごいね」。普段、母の由紀子さんはなかなかコースに来ることはないが、昨年飼っていた愛犬が亡くなり、「久しぶりに見に行こう、と」。数少ない観戦で母も喜んだ。

 遼が16歳でプロ転向した08年は航は7歳だった。兄弟で切磋琢磨(せっさたくま)したかと思われるが、「毎日一緒に練習してたわけではない。彼なりの世界観の中でやっているので、何も言うことはない」と遼。今オフにはともにタイで合宿を行ったが、弟への助言もなかった。勝負の世界で生きる兄のスタンスなのだろう。

 昨年大会は決勝ラウンドで初の同組が実現し、遼が41位、航は73位だった。より上位で大会期間中に同組になる可能性もあるが「うれしいけど、4分の1終わっただけ。喜びも4分の1で抑えている」と遼。「お互いに、まだこれから」と気を引き締め、足早に練習場へ向かった。8歳年下の航が優勝すれば20勝の兄に続く。兄弟V達成なら史上6組目。ツアー史に「石川兄弟」の名を刻む。(富張 萌黄)

 ◆尾崎兄弟の首位発進 97年11月のカシオワールドオープン第1ラウンド(R)で67をマークし、4人が並ぶ首位に。3兄弟の次兄・健夫は1打差5位だった。最終成績は直道2位、将司5位とともに優勝は逃した。

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