
2番でアルバトロスを達成した小西たかのり(カメラ・高木 恵)
◆男子プロゴルフツアー 中日クラウンズ 第3日(3日、愛知・名古屋GC和合C=6557ヤード、パー70)
前週の前沢杯でツアー初優勝を飾った小西たかのり(33)=フリー=が2番パー5でアルバトロスを達成し、65をマーク。通算6アンダーで首位に浮上し、2006年のジーブ・ミルカ・シン(インド)以来19年ぶり、日本勢初となる、初優勝からの2週連続優勝に王手をかけた。登録名を本名の「貴紀」から改名した今季、プロ14年目は波に乗っている。この日のベストスコア62で回った浅地洋佑(31)=フリー=と、66の岡田晃平(23)=フリー=がトップに並んだ。
イメージ通りのフェードを描いた第2打を、手に残った好感触とともに、小西は見送った。2番パー5。残り231ヤードの左ラフから21度のユーティリティーを振り抜いた一打は、ピン手前7ヤードに着弾し、カップをめがけて転がり消えた。「まさか入るとは。歓声で分かった」。大会では1998年、中嶋常幸(1番パー4での第1打)以来27年ぶりのアルバトロス。コース中に響き渡った喝采に、両手を上げて応えた。
今季の好調をショットが支えている。「リズムよく振れている。グリーン上が難しくてパットが入らないので、頑張ってショットでつけるしかないという感じだった」。9、10番で3メートル、11番は2メートルのチャンスをつくりながら、決まらない。我慢の展開にも「しつこく(ショットを)つけていって、入れる確率を上げるしかないなと思ってやっていた」と冷静だった。
登録名を本名の「貴紀」から改名した今季、「たかのり」は乗っている。前週の新規大会「前沢杯」で初代王者に輝き、賞金4000万円を獲得したばかり。ゴールデンウィークの今週は、アルバトロスときた。ホールアウト後に、主催者から30万円が贈られた。初優勝後、お祝いのメッセージが大量に届いた。1勝の重みを、日を追うごとに実感している。
開幕前には「(初優勝翌週は)2割ぐらい予選落ちしていると聞いている。その2割の中に入らないようにしたい」とおびえていたが、始まってみれば優勝争い。この日は午前6時52分から第2ラウンドの残り9ホールをプレーした。27ホールの長丁場を乗り切った。「2週連続が懸かっているので、ぜひまた勝ちたいです」と言い切った。(高木 恵)
◆アルバトロス 規定打数より3打少なく上がること。男子ツアーで資料が残る1985年以降では小西が51例目で、44人目の達成者になった。
◆初優勝から2週連続優勝 小西が達成すれば、日本勢では初となる。2006年にジーブ・ミルカ・シン(インド)がカシオワールドオープンと日本シリーズJTカップで達成した1例があるだけ。オープンウィークをはさむ2戦連続Vは08年のプラヤド・マークセン(タイ)、21年の木下稜介の2人が果たしている。蝉川泰果は22年9月のパナソニックオープン、同10月の日本オープンで出場2戦連続優勝している。
◆小西 たかのり 本名・小西貴紀(こにし・たかのり)。1992年1月16日、東京・葛飾区生まれ。33歳。ゴルフは9歳から。2012年に3度目の受験でプロテスト合格。13年日本プロ新人選手権優勝。19年の最終予選会で4位に入り、20年レギュラーツアー出場権を獲得。22年はトップ10入り4回で初シード獲得。米ツアー11勝の松山英樹、国内20勝の石川遼らと同学年。175センチ、81キロ。家族は両親。