涙に暮れた1年前 佐久間朱莉の決意 悔しさ胸に「リベンジしたい」8位浮上…師匠ジャンボ尾崎が4度Vのコース


9番でバーディーを奪った佐久間(カメラ・今西 淳)

9番でバーディーを奪った佐久間(カメラ・今西 淳)

◆報知新聞社後援女子プロゴルフツアー メジャー初戦 ワールドレディスサロンパスカップ 第2日(9日、茨城GC東C=6675ヤード、パー72)

 12位から出たツアー1勝の佐久間朱莉(しゅり、22)=大東建託=が2バーディー、1ボギーの71で回り、首位と3打差の8位に浮上した。師匠で国内最多ツアー94勝の尾崎将司(78)が男子ツアーのダンロップオープンを4度制した茨城GC東Cで好スコア。1打差の2位で優勝を逃し、悔し涙を流した昨年大会のリベンジへと突き進む。通算6勝の藤田さいき(39)=JBS=が72で単独首位をキープした。

 豪快にイチゴ6個をほおばった佐久間が、難コースで耐えに耐えた。9番で5メートルのパットを決めて初バーディーを奪った後、“もぐもぐタイム”でエネルギー補給。18番は左の林へ大きく曲げながら「OBと思ったけど(球が)あってラッキー」と運も味方し、ボギーでしのいだ。メジャー初Vに向けて上位戦線に残り「なんとか耐えた。まだまだチャンスはあるので頑張る」と言葉に力を込めた。

 グリーンスピードは国内今季最速を更新する「14と2分の1フィート」の難設定。強風も吹き荒れ、出場120人でアンダーは22人と苦戦した中、佐久間は違った。貫いたのは「難しさを楽しむ」という精神。15番で右の林へ打ち込んでも絶妙なアプローチで約50センチに寄せてパー。1ボギーは自身を含む6人のみと、崩れなかった。

 今大会を戦う茨城GC東Cは、師匠の尾崎がダンロップオープンで4度(80、88、92、94年)優勝した“十八番(おはこ)”コースだ。先月のKKT杯バンテリンレディスで初優勝を飾った佐久間は前々週、ジャンボ邸を訪問。高級シャンパンのドンペリを開けて祝勝会を行った際に「俺は東Cが好き。西Cは好きじゃない」と打ち明けられた。さらに今大会に向けて「ショットでベタベタつけるんだぞ!」と激励され、佐久間は「ジャンボさんが好きなコースで勝てたらと思う」と気合が入った。門下生で初となるサロンパスカップ制覇を改めて心に誓った。

 雪辱の時が来た。昨年大会は最終日の16番で一時首位に並んだが、1打差届かず2位。涙が止まらなかった。練習時は常に、当時の悔しさを忘れずに打ち込み「去年の2位がこのオフに頑張る源でもあった。リベンジしたい」。悲願のメジャー初Vをつかむチャンスだ。

 この日は午後5時半頃にラウンドを終えた後、主にショットが右に曲がるスイングを練習場で入念に修正した。第3日は雨予報で「滑ってミスが起きやすいので集中して臨みたい。2勝目、3勝目に向けて頑張る」。1年前は涙に暮れた週末を、笑顔に変える。(星野 浩司)

 ◆佐久間の昨年大会 初日に67をマークし単独首位発進し、2日目は72で回り2位、3日目は71で3位。4打差を追った最終日は2バーディー、1ボギーの71と伸ばしたが、通算7アンダーで1打届かず2位に終わった。16番のバーディーで首位をとらえたが、17番パー3で3メートル残ったパーパットが入らず後退。ホールアウト後に「勝てなかったら意味がない」と悔し涙を流した。

 ◆佐久間 朱莉(さくま・しゅり)2002年12月11日、埼玉・川越市生まれ。22歳。父の影響で3歳から始める。19年日本ジュニアで2位、翌年アマ日本代表入り。21年に埼玉平成高を卒業し、同6月のプロテストにトップ合格。同11月に下部ツアー優勝。22年はトップ10入り3度を含むメルセデス・ランク33位で初シード獲得。師匠は尾崎将司。得意クラブはアイアン。ツアー1勝で今季メルセデスランク3位。身長155センチ。家族は両親と兄。

 ◆主なジャンボ門下生の女子プロ 原英莉花は2015年に知人の紹介で弟子入り。18年7月にプロテストに合格し、20、23年の日本女子オープンなどツアー5勝。17年に開校した「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー」の1期生が、佐久間朱莉と、4月のシェブロン選手権で日本女子5人目のメジャー優勝を飾った西郷真央。19年に入門した笹生優花は20年に国内2勝を挙げ、21、24年の全米女子オープンを制している。木戸愛(めぐみ)、小林夢果もまな弟子。

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