「37歳でも優勝できます!」女子ゴルフ・申ジエが大会最年長V…史上7人目永久シードへ王手「早くやりたい」


プレーオフを制して優勝した申ジエ(カメラ・山崎 賢人)

プレーオフを制して優勝した申ジエ(カメラ・山崎 賢人)

◆女子プロゴルフツアー メジャー初戦 ワールドレディスサロンパスカップ 最終日(11日、茨城GC東C=6675ヤード、パー72、報知新聞社後援)

 元世界ランキング1位の申ジエ(37)=韓国=が、2打差2位から出て通算7アンダーで並んだ藤田さいき(39)=JBS=とのプレーオフを1ホール目で制し、7年ぶり2度目の優勝を果たした。2013年の茂木宏美(36歳17日)を上回る大会史上最年長制覇で国内メジャーは5勝目。日本ツアー会員としては2年ぶりの通算29勝目で、7人目の永久シードに王手をかけた。優勝賞金2400万円を獲得し、生涯獲得賞金はツアー史上初の14億円を突破した。

 50センチのウィニングパットを沈めた申は、空を見上げて両拳をグッと握った。藤田とのPOは残り75ヤードの第3打をピン左50センチにピタリ。割れんばかりの大歓声を全身で浴び、メジャー5勝目をつかんだ。37歳13日での大会最年長Vを優勝インタビューで伝えられ「そんなこと言わなくてもいいじゃないですか~」とおどけ、「若い力を見せたかった。37(歳)でも優勝できます! 自分の記録を超えられるように、38でも39でも頑張ります」と声を張り上げた。

 白熱のアラフォーの一騎打ちを制した。2打差2位からパーを重ねる中、藤田が2つ落とした3番で逆転。ボギーを打った14番で並ばれたが、体調不良の藤田に「勇気をもらい、私も最後まで集中力をもてた」。元世界1位の底力をPOまで示し、最終日にバーディーなしでの優勝は08年のメジャー昇格後は初となった。

 最終日は母の日。母・那松淑(ナ・ソンスク)さんは03年に交通事故で42歳で亡くなった。申は「それを考えたら心が弱くなる。勝負しか考えなかった。優勝でいいあいさつができて良かった。まだ半日あるので(母に)感謝したい」と柔和な表情でかみしめた。

 17歳だった05年に韓国でプロ転向し今年で20年。マネジャーで日本ツアー1勝の金愛淑さん(62)は「出会った19歳の時から複雑なルーチンを狂わせたことがない」と話す。睡眠や食事、スイング時の決めごとは多く、午後7~8時に寝る習慣は時差がある海外遠征時も徹底。体のケアに朝、夜と計2~3時間を費やし、常に高いコンディションが好結果を生む。

 2年前からオーストラリアで後輩と合宿を行っている。ショット練習や筋トレに熱心な“練習の虫”だ。今大会はパター7本を持ち込み、超高速グリーンや天気に合わせて変えた。「体力は落ちた。ゴルフ人生で下りにいる中での優勝。下りきることが大事」と話した。

 茨城GCで初の東西両コース制覇、史上初の生涯獲得賞金14億円突破をマーク。永久シードにあと1勝と迫った。「30勝は残りの試合で早くやりたい」。まっすぐと前を見つめ、申は言い切った。(星野 浩司)

 ◆申 ジエ(しん・じえ)1988年4月28日、韓国・全羅道生まれ。37歳。11歳で競技を始め、2005年にプロ転向。06年から韓国ツアーで3年連続の賞金女王に輝く。08年のヨコハマタイヤPRGRレディスで日本ツアー初優勝。09年、米ツアーに主戦場を移し、3勝して賞金女王に。10年に自身初の世界ランク1位。同ツアーはメジャー2勝を含めて通算11勝。14年から日本ツアーを主戦場に。日本ツアーの生涯獲得賞金は14億円超で歴代1位。155センチ、63キロ。

 ◆ゴルフの永久シード権 ツアーに出場する権利を生涯を通じて与えられる制度で、国内女子は「通算30勝以上」、国内男子は「通算25勝以上」が条件。女子は6人、男子は青木功(51勝)、尾崎将司(94勝)、中嶋常幸(48勝)、尾崎直道(32勝)、倉本昌弘(30勝)、片山晋呉(31勝)、故・杉原輝雄(28勝)の7人しかいない。

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