
3番ティーショットを放ち打球の行方を追う吉沢柚月。通算6アンダーで4位に付けた(カメラ・今西 淳)
◆国内女子プロゴルフツアー 富士通レディース 第2日(18日、千葉・東急セブンハンドレッドC=6697ヤード、パー72)
12位で出たプロ2年目の吉沢柚月(ゆづき、三菱電機)が5バーディー、1ボギーの68で回り、通算6アンダーでトップと2打差の6位に浮上した。ツアー史上3人目となるウェーティング(繰り上がり出場)からの初優勝を狙う。
真っ赤に映えるウェアの吉沢が猛チャージした。1番で10メートルをねじ込むと、2番は1メートル、3番は5メートルを決めて3連続バーディーで発進し「出だしがすごい良くて流れに乗れた」。8、10番でもバーディーを重ね、自身最高の4位に浮上。「ショットは練習場で曲がってたけど、コースでは曲がらなかった。パットは今週も引き続きいい感じで打ててる」と手応えをにじませた。
開幕3日前に繰り上がりで急きょ出場が決定。だが、今季は同じ経験が4~5回ある吉沢は「普通に試合が出る感じで(会場に)入ってきた」と心構えや準備は普段と変わらない。17年ゴルフ5レディスのO・サタヤ(タイ)、18年マンシングウェアレディース東海クラシックの香妻琴乃に続く史上3人目のウェーティングからの優勝を射程にとらえた。
プロ1年目の昨季は19戦中18戦で予選落ちしたが、今季はレギュラーツアーで2度の13位に入り、9月の下部ツアー優勝など実績を重ねてきた。「全部が良くなった。今年は成績も着いてきてくれるのが一番自信かな」。成長を実感しているプレーでリーダーボードを駆け上がった。
ピンチを乗り越えた。第1日の夜に飲食店「やよい軒」でチキン南蛮を食べた後、愛用するヤーデージブックを紛失。グリーンのライン、ラフからの打ち方などを細かくメモしていた。「ヤベっ! まぁ、しょうがねえや」。この日は前向きに開き直り、コースを熟知するハウスキャディーと綿密に会話して助言を受けて好スコアを生んだ。
同じ千葉県出身で、麗沢高の2学年先輩・西郷真央(島津製作所)が4月に海外メジャー・シェブロン選手権を制した。高校時代はスイングに悩んだ時にアドバイスをくれた優しい先輩の活躍に、吉沢は「真央さんから刺激をもらい、私も頑張ろうと思う。優勝を目指したい」。2003年生まれの「ダイヤモンド世代」7人目となる優勝を地元でつかみとる。(星野 浩司)
◆吉沢 柚月(よしざわ・ゆづき)2003年11月23日、千葉・市川市生まれ。21歳。父・直和さんの影響で9歳からゴルフを始める。麗沢高では西郷真央の2年後輩。プロテストは23年11月に3度目の挑戦で合格。25年9月の下部ツアー・山陽新聞レディースカップで初優勝。得意クラブはアイアン。趣味は一人カラオケ、さつまいもスイーツを食べること。名前には「冬に実をつける柚子(ゆず)のようにたくましく強く明るい人になってほしい」という両親の願いが込められた。憧れの選手は稲見萌寧。164センチ、57キロ。