
8番、秋空の雲に向かってティーショットを放つ渋野(カメラ・今西 淳)
◆国内女子プロゴルフツアー 樋口久子・三菱電機レディス 第2日(1日、埼玉・武蔵丘GC=6690ヤード、パー72)
21年大会覇者の渋野日向子(26)=サントリー=は73位で出て5バーディー、ボギーなしの67と伸ばし、通算3アンダーの31位に急浮上した。予選通過圏外だった終盤の5~8番で4連続バーディーを奪い、3週連続の予選突破。来季米ツアー出場権をかけた13日開幕のアニカ・ゲインブリッジ・ペリカン(フロリダ州)に向けて復調を示した。7位で出た後藤未有(25)=大東建託=は自己ベストに並ぶ65で通算11アンダーの単独首位に浮上し、初優勝に王手をかけた。
最終9番を終えた渋野は樋口久子・大会名誉会長(80)と抱き合い、目を潤ませた。初日73位の出遅れから猛チャージでV字回復し、31位に急浮上。観客の大拍手を全身で浴び「めっちゃうれしい。バーディーが増える度に歓声があがって『おまたせ!』って感じ。情けないところばかり見せてたけど、本当に涙が出そう」とかみしめた。
ミラクル突破だ。前半終了時点でカットラインに2打届かず。後半の1番で1・5メートルのバーディーパットを外した瞬間、「顔が地面に埋まるんじゃないかくらいキツかった」と沈んだが、諦めなかった。パット時に3~4回素振りする新ルーチンで集中力を高め、5番から2~4メートルのパットを沈めて4連続バーディー。「ゾーンに入った。本当にいい集中力だった」。崖っぷちから3週連続の予選通過圏内に滑り込んだ。
パットの好転を生んだのは、好調のショットだ。前週はスイング時に手に力が入り、リズムが速くなるミスが出たが、今週は「緊張感がある中で自分のリズムを徹底できた」。この日はフェアウェーキープ率100%、パーオン率は全体7位の88・89%。「ショットに助けられた。最後まで攻め続けられた」と自賛した。
米ツアーは直近4戦連続で予選落ちし、年間ランク104位で「崖っぷちにいる」と渋野。来季シードがかかる2週後の大会を前に無休で臨んだ国内4連戦のラストで、不安を払しょくした。「結果が悪かろうが、やり切りたいポイントを最後までやり切れた。フロリダの試合や明日につながる」と手応えを感じている。
この日は練習ラウンドでも着たスカート着用を考えたが、強風を考慮しズボンに。最終日のお披露目は「明日見てください」。首位と8打差。逆転Vの壁は高いが、日本でのプレーは今年最後になるかもしれない1日をしぶこスマイルで締める。(星野 浩司)
◆渋野の来季米ツアーシードへの道 米ツアーは直近4戦連続予選落ちと苦戦し、ポイントランクは104位。80位以内の通常シード、出場優先順位が下がる100位以内の準シードの圏外に低迷している。6日開幕の日米共催・TOTOジャパンクラシック(滋賀・瀬田GC)はウェーティング4番手。13日開幕のアニカ・ゲインブリッジ・ペリカンに出場後、来季シードを逃した場合は米ツアー最終予選会(12月4~8日、アラバマ州)に挑戦する予定。

