プロ8年目に流したうれし涙 石坂友宏、天国の恩人と妻にささげる初優勝「やるべきことをしっかりやった」


ツアー初勝利を挙げた石坂友宏が妻の星空さんと共に優勝カップを手にする (カメラ・豊田 秀一)

ツアー初勝利を挙げた石坂友宏が妻の星空さんと共に優勝カップを手にする (カメラ・豊田 秀一)

◆男子プロゴルフツアー▽東建ホームメイトカップ 最終日(12日、三重・東建多度CC名古屋=7090ヤード、パー71)

 首位と2打差の3位で出た石坂友宏(26)=都築電気=が4バーディー、1ボギーの68で回り、通算9アンダーで並んだ稲森佑貴(31)=国際スポーツ振興協会=とのプレーオフ(PO)を2ホール目で制し、ツアー初優勝を飾った。今年の元日に結婚し、公私ともに充実著しいプロ8年目が、今季から賞金からポイント制に変更された初代「年間王者」の座へ向けて最高のスタートを切った。単独首位で出た水田竜昇(たつあき、26)=スプリングフィールドGC=は78と崩れ、31位に終わった。 

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 ウィニングパットを決めた石坂は、しばらく天を見上げると、あふれる涙を抑えきれなくなった。「ツアーに出るようになって6シーズン目。やるべきことをしっかりやった3日間だった」。ようやく手にした初優勝の喜びをかみ締めた。

 2打差を追って、最終組の1つ前の組でスタート。前半で2つ伸ばし、後半も強風の中で耐えてスコアを維持。終盤、稲森に逆転されたことにも気付いたが、集中は切れなかった。16番で3メートルを沈めてパーセーブすると、17番パー5のバーディーで追いつき自身2度目のPOへ。前回は20年ダンロップフェニックスで金谷拓実との激闘の末、4ホール目で敗れた。「またかと(当時が)頭をよぎった」が、持ち前の安定感でパーを重ね、2ホール目で難敵を振り切った。

 天国にささげる勝利にもなった。小学6年から不登校気味になった石坂の人生を変えたのが、横須賀市内の練習場で出会ったスポーツインストラクターの鈴木隆さんだった。話をするうちに引き込まれ、毎日電話をかけるほど頼りにした。「ゴルフは素人だったが、言葉が重くてメンタル面ですごく大きな存在だった。鈴木さんがいてくれたから今の自分がある」。プロ転向後も応援のためツアー会場に来てくれた恩師は昨年10月、93歳で他界。優勝を決めた直後に空を見たのは「もちろん、鈴木さんの事も浮かんで」と明かした。

 今年の元日にマネジャーの星空(せいあ)さん(22)と結婚。「予選落ちしたら『(ご飯を)食べさせない』と言われるので」。国内開幕戦で早くも“新妻孝行”を果たした。今後は日本ツアーを主戦場に、機会があればアジアツアーにも積極的に出て行く方針。「妻は僕の一番の理解者。やってやろうという気持ちになっています」。国内開幕戦の新ヒーローは、ポイントランクの首位に躍り出た。(吉村 達)

 〇…グリーン脇で石坂の雄姿を見守った星空(せいあ)夫人も涙を流した。「優勝争いをしていても心が折れてしまうことがあった。けんかもしましたけど『今の一打に集中しよう』という話をしていました」と惜敗が続いた時期を振り返った。夫は大のプロ野球・DeNAファンだという。「本人は横浜スタジアムで始球式をするのが夢みたいなので、声をかけていただければうれしいです」と報道陣にアピールした。

 ◆石坂 友宏(いしざか・ともひろ)1999年9月21日、神奈川・横須賀市出身。26歳。10歳でゴルフを始め、中学時代に関東ジュニアなどで優勝。高校、大学は通信制の日本ウェルネススポーツに在籍し2018年関東アマを制覇。19年は国体成年男子で団体、個人の2冠に輝き、日本オープンでローアマを獲得。19年末にプロ転向。20年からツアー本格参戦。昨季賞金ランキング39位。173センチ、75キロ。

 ◆ポイント制へ移行 国内男子ツアーを主管する日本ゴルフツアー機構は、今季から従来の賞金に代わり、ポイント制を導入し、シーズンを通じて「年間王者」の座を争う。通常大会の優勝は500ポイント、国内メジャー大会は1・25倍の625ポイント、海外メジャーは1・5倍の750ポイントなどと試合の規模に応じて変動する。米男女ツアーでは早くからポイント制を導入。国内女子ツアーは22年に移行した。一部の試合で高額賞金を稼いだ選手が一気にジャンプアップする“不公平感”解消の意味合いもある。国内男子下部ツアーは、昨季からポイント制が導入された。

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