【母の日の伝説】山下美夢有が21世紀生まれ選手最初の国内メジャー制覇「目の前で優勝することができて本当に良かった」


優勝杯(右)とサロンパス杯を手に笑顔を見せる山下美夢有

優勝杯(右)とサロンパス杯を手に笑顔を見せる山下美夢有

◆女子プロゴルフツアー メジャー初戦 ワールドレディスサロンパスカップ 第3日(9日、茨城GC西C=6718ヤード、パー72、報知新聞社後援)

 大会最終日が「母の日」と重なることが多いシーズン最初のメジャー。2008年にメジャー昇格後、数々のドラマが生まれてきた。その名場面を振り返る。第3回は、2022年大会の山下美夢有(みゆう)。

**********

 6打差の首位で出た山下美夢有(当時20)が3バーディー、2ボギーの71で回り、通算12アンダーで逃げ切って、2001年以降生まれの21世紀世代選手で最初の国内メジャー覇者となった。ツアー通算2勝目。20歳279日と宮里藍に次ぐ年少2位となる、メジャー4日間首位を譲らずの完全優勝だった。

********

 30センチのパーパットを沈めた山下は、ようやく緊張から解放された。最終18番。グリーン横で見守った母・有貴さんら家族に出迎えられて笑顔になったが、直後の優勝インタビューでは笑顔が一変。母の日の質問を受けた瞬間に目を潤ませ、「目の前で優勝することができて本当に良かった。ママ、いつも支えてくれてありがとう」と、涙声で感謝の言葉を口にした。

 6打差の首位で最終日を迎えたが、朝から緊張しっぱなしだった。「なかなか気持ちが落ち着かなかった」。両親とコースに向かう車中では、コーチの父・勝臣(まさおみ)さんに「勝負曲ないのか?」と聞かれ、人気音楽ユニット・C&Kの「道」を流し、曲に乗せて母が踊って緊張を和らげた。「いつも面白いこと言ったり、私が笑顔になるようにしてくれる」と母に感謝した。

 8番で5メートルを決めて初バーディー。「まず一つ取れて良かった」。9番のボギーで3差に迫られたが、「自分を信じて一打一打集中して」と、12、15番でバーディーを奪い、3打差で逃げ切り。「メンタルがやられてた」という3戦連続予選落ちから、4日間メジャーでの年少2位となる完全Vを達成した。

 5歳でゴルフを始め、最初に大人のドライバーを握り、きれいな打球を飛ばして父を驚かせた。高3でプロテストに一発合格し、21年4月にツアー初優勝した。同7月、一家に衝撃が走った。父が新型コロナウイルスに罹患(りかん)し、「肺が真っ白な状態」(母)に。命の危険もある状態の中、母は数週間、神社に通って手を合わせた。北海道でツアー中だった山下は、マネジャーに「母に電話して、父の容体を教えてください」と、涙を流しながらプレーした。

 父は無事回復し、今大会では優勝を支えてくれた。父の助言でショット、パット前のルーチンを今週から変更。両親の1か月ぶりコース来場で最高の結果を出し、「恩返しができて良かった。今日は100点」と安どした。「これからも頑張りたい」と孝行娘は活躍を誓った。

 山下の母・有貴さんは1か月ぶりにツアーに同行。ハラハラしながら72ホールを見て回り「言葉にならないぐらいのいい思い出になった」と涙ながらに話した。最終日には、弟・勝将さんと母方の祖父・彰さん、祖母・和子さんが来場。両親が共働きで、ジュニア時代にコースまで送迎をした祖父母は孫娘の偉業を見て喜んだ。有貴さんは「娘のおかげで私も母の日に親孝行できた」と感謝していた。

 ◆山下 美夢有(やました・みゆう)2001年8月2日、大阪・寝屋川市生まれ。24歳。5歳から父の影響でゴルフを始める。大阪桐蔭高3年時の19年に全国高校ゴルフ選手権で優勝。同年11月のプロテストに合格し、20年からツアー参戦。21年のKKTバンテリンレディスで初優勝など通算13勝。22年、23年の賞金女王。25年に海外メジャーのAIG全英女子オープン優勝。150センチ、52キロ。

最新のカテゴリー記事