男子ゴルフのANAオープン最終ラウンド(9月20日)、石川遼選手が16アンダーで優勝しました。
石川選手は1年2ヶ月ぶりに国内ツアー優勝となり、会見でこう発言しています。
「みんな『自分のスタイル』を持っているのに僕にはなかった。いつもどこか『スコアを崩さない守りのゴルフ』をしようとして失敗していた」
「攻め続けるゴルフ」を意識した4日間、やはり「自分のスタイル」を把握することが大事だと言えるでしょう。
そこで今回は、「自分のスタイル」について、お話したいと思います。
■ロングゲームタイプ? ショートゲームタイプ?
得意なクラブを多く使用するほうが苦手のクラブを使用するよりも、スコアを良くする効果が期待できる。だとしたら、ロングゲームに自信があるのか、ショートゲームに冴えがあるのかによってスタイルが決定されます。
前者は、長く広いホールでは長所を生かせ、短く狭いホールではリスクもありますがチャンスを得ることができます。
後者は、長く広いホールではFWをキープし、短く狭いホールではリスクを少なく安定したプレーができます。
ロングゲームが得意ということは、スピードを加速することに長けていると言えます。ショートゲームが得意ということは、スピードを一定に、フェース面や軌道をコントロールできると言えます。
どちらも得意なのがベストですが、どちらも自信がない方も確かに存在します。
また、自分自身がどちらが合っているか、見分け方があります。
1つの見分け方としまして、バックスイングのスピードが目安になります。・バックスイングがゆっくりの方は、ショートゲームが得意・バックスイングが早い方は、ロングゲームが得意
前者の理由は、フェース面やグリップの感覚が研ぎ澄まされて、それらを感じてあげる傾向にあり、ゆっくりとしたリズムで、1ヤード間隔で打つフィーリングが宿っているからです。
■攻めのスタイルとは? 守りのスタイルとは?
「攻めのスタイル」「守りのスタイル」とはどういうことを指すのでしょうか? 以下のチェックポイントをご覧ください。
<攻めのスタイル>
1) | 1打目は、基本ドライバー |
2) | セカンドショットは、ピンまで届かせる |
3) | アプローチは、上げるのが好きで、ショートは基本しない |
4) | パッティングは、基本ショートしない。狙うことを主眼とする |
5) | 曲げることを嫌うより、振りきらないことを憎む |
6) | 攻めてミスをおかすより、攻めないで終わることを責める |
7) | チャンスを得るには、当然リスクも覚悟の上だ |
<守りのスタイル>
1) | 1打目は、FWキープが基本であり、アイアンで打つことも厭わない |
2) | セカンドショットは、グリーンセンターか、手前花道 |
3) | アプローチは、ランニングを主に、手前から寄せ、上りのパッティングを残す |
4) | パッティングは、基本距離を合わせる。寄せることを主眼とする |
5) | 1回のビッグドライブを嫌い、毎回同じ飛距離や精度を好む |
6) | 攻めてミスすることを嫌い、チャンスが来るまでどこまでも耐えることを大切とする |
7) | リスクを少なくすることが上策、少ないチャンスを生かすことが重要である |
アマチュアとプロの違い、攻めのスタイルと守りのスタイルの良さを見てみましょう。
<アマチュアの攻めとプロの攻めの3つの違い>
1) | アマチュアはクラブを120%で振り回し、プロは自分の力量の80%で戦っている |
2) | 仮にドライバーを曲げた場合、ピンサイドがアマチュアで、逆サイドに外すのがプロの攻めである(対角線で攻め続けるために) |
3) | 短いアイアンで振りまわすのがアマチュアで、球筋をコントロールしてピンを責めるのがプロの攻めである |
<アマチュアの守りとプロの守りの3つの違い>
1) | アマチュアの守りは、すべてにおいてボールを置きに行き、結果予定より飛ばないし、曲がる場合が多い。他方プロの守りは、しっかりと打ち込み、距離の誤差が少ないし、曲がらない。 |
2) | 花道からの簡単なアプローチでさえも、トップミスのオーバーをきらい硬くなるのがアマチュアである。他方プロの守りは、ピンを抜き、狙って入れる雰囲気さえもある。 |
3) | ラウンドの後半でも、アマチュアは距離を合わせに行く守りのパッティングをしてしまう。他方プロは、距離をつかんでさえしまえば、ラインに乗せれば入れることができると考えています。 |
<攻めのスタイルの良さ>
1) | チャンスが多い |
2) | 爆発力がある |
3) | 長く、広く、好条件に強い |
<守りのスタイルの良さ>
1) | ミスが少ない |
2) | 安定している |
3) | 悪条件に強い |
以上です。今回の内容はいかがでしたでしょうか?
また、最後に「攻める選手でしか生き残れない環境とは?」について考えてみたいと思います。
次々と新しい優秀な選手が世界から集まってくる厳しい生存競争、最終日にスコアを伸ばさなければ勝てない状況、厳しいコースコンディション等が考えられます。
高い集中力や戦闘力を持って、チャンスを得るために攻め、ミスが出たらこれを守りぬき、優勝をめざしてさらに攻め続ける。
一度、18ホールを攻めきってみることをおすすめいたします。
本来備わっている高い闘争本能を試すことができるかもしれません!
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◆小暮博則(こぐれ・ひろのり)
1972年11月27日生まれ。埼玉県出身。明治大学商学部商学科卒業。JGTO(日本ゴルフツアー機構)プロ。PGAティーチングプロ。2003年 JGTO ファイナルQT進出。2013年から東京慈恵会医科大学ゴルフ部コーチに就任している。就任後、同大学は2013年度全日本医科大学ゴルフ連盟秋季大会個人優勝、2014年度全日本医科大学ゴルフ連盟春季大会団体優勝を果たす。PFGA(パーフェクトゴルフアカデミー)のゴルフスクールを主宰し、赤坂(東京都)と小手指(埼玉県)にて展開している。 著書に『一生ブレないスイング理論 “左重心スイング理論”でゴルフの常識が変わる』(カンゼン)がある。
PFGA(パーフェクトゴルフアカデミー)ゴルフスクール
http://pfga.co.jp/