首位で出たプロ9年目の穴井詩(らら、28)=ゴルフ5=が6バーディー、1ボギーの67で回り、所属先が主催するホステス大会でツアー初優勝を飾った。
2013年の吉田弓美子を2打更新する大会記録の通算14アンダー。同じ最終組で回った元世界ランク1位の韓国・申ジエ(28)=スリーボンド=の圧力を振り払った。前週に続いて最終日最終組となった鈴木愛(22)=セールスフォース=は75と崩れ、6アンダーの6位に終わった。
勝負弱い自分にさよならを告げた。最終18番。穴井は1・5メートルのウィニングパットを決めた。「9年は長かった。びびり倒したパットだった」。首位タイからこの日のベストスコア67をマーク。ホステス大会で悲願を達成し、緊張から解放されて白い歯がこぼれた。
前日に続いて申、鈴木との最終組。元世界ランク1位の韓流プロは、3週間の休養を挟んで通算13勝目を奪いに来た。「(ヘビー級の)世界チャンピオンに日本のバンタム級が挑むよ」。2日目終了後、鈴木に話した。自分に言い聞かせるような口調だった。「力がありながら勝てない。あとは気持ちだけだった」と渋谷一英キャディー(34)。申に17番で2打差に迫られた最終ホール。「思い切り振ろうと決めて打った」。強気でかっ飛ばした平均飛距離270ヤードのドライバーは左ラフに入ったが、大けがはなし。重圧に打ち勝つパーセーブで栄冠を手にした。
14年LPGAツアー選手権リコーカップ。単独首位で迎えた最終日、テレサ・ルー(台湾)にプレーオフの末に敗れた。これを含めて08年にプロ転向後2位が3回。「あの経験を経て、いろんな負け方をして精神的に鍛えられた」。先週のニトリレディスでは5発の池ポチャもあり41位。「池に対して免疫がついた」。今週の18番ではコース右の池に目もくれず、自慢のドライバーを振り抜けた。
次の目標を聞かれ「メジャー(優勝)が欲しい」と即答した。初Vで弾みをつけ、8日からの国内メジャー・日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯(北海道・登別CC)を迎えるが、表情がさえない。「問題が1つありまして…。練習ラウンドができないんです」。不注意で、コースの使用は2日までに予約が必要だと知らなかった。「プロアマ戦(7日)で見ておくしかないですね」。異例の“逆境”も強気ではねのけられそうだ。(浜田 洋平)