松山、メジャー初Vへ 最難関の終盤3ホール「死刑台への道」乗り越える


10番、ティーショットを放つ松山(ロイター)

 ◆米プロゴルフツアーメジャー最終戦 ▽全米プロ選手権(10日開幕)

 【シャーロット(米ノースカロライナ州)8日=岩原正幸】10日開幕の米男子ゴルフのメジャー今季最終戦、全米プロ選手権(クウェイルホローC)で日本男子初のメジャー制覇に挑む松山英樹(25)=LEXUS=は18ホールを回り、「グリーンマイル(死刑台への道)」と呼ばれるツアー最難関の終盤3ホール攻略法を探った。

 松山は悲願達成へ休む間もなく精力的に調整に励んだ。午前中は大雨、午後からは炎天下。湿気と直射日光で体力を奪われながらも、谷原とともに18ホールを完走した。生命線のショットや、粘りのあるラフからの寄せを入念に確認した。大会中の天気は雨と雷の予報。「今週は天気が悪いので(球が転がらず)全体的に長いホールが続く。大変だな」とメジャー初制覇への険しい道のりを見据えた。

 優勝の行方を大きく左右する最大の難所「グリーンマイル」で小休止した。グリーン左に大きな池がある16番第2打地点のバンカー脇にタオルを敷き、一度座り込んだ。すぐに練習を再開すると、第2打をグリーン右に乗せる“安全策”を選択。続く17番では第1打を2度打つ念の入れよう。グリーン上では左後方にある池を背にした方向からもパットを試し、あらゆる位置から傾斜を確認した。18番では第1打を左に引っかけ、あわやクリークにつかまりそうになる場面も。狭いフェアウェーを身をもって体感した。

 前週のブリヂストン招待最終日では、3連続バーディーフィニッシュで優勝を決定づけた。「難しい上がり(3ホール)ですけど、それまでも難しい。我慢強さが大事? だと思います」と印象を口にした。

 優勝翌週に試合に出場するのは米ツアーでは自身初。5勝目を挙げた6日夜、オハイオ州から約650キロを移動し、7日午後から9ホールを含め約4時間の調整。東北福祉大の先輩・谷原は「休みたいでしょうけど、プロゴルファー・松山英樹がそれを許さない。コースは(過去3年出場した米ツアーで)知っているわけだし(今日は)ハーフでもいいはず。そこで頑張るから(今の)あいつがある」と脱帽した。

 松山は、いつものメジャー前と変わらぬ周到な準備を進める。「フェアウェーもラフも(改修で)別コースでやっている感じ」。おごらず気負わず、自然体で大舞台に臨む。

 ◆「グリーンマイル」 池や小川が絡む16、17、18番の最終3ホールの総称。米ツアー公式サイトは「ツアーで最も難しい上がり3ホール」と紹介。それぞれ平均スコアは16番パー4は4.23、17番パー3は3.31、18番パー4は4.40となっている。刑務所を舞台にした人気映画にちなみ「死刑台への道」という意味で名付けられた。16番はグリーン左に大きな池、17番は、池越えでアイランドグリーンのような構造。最終18番もティーグラウンドからグリーンまで左に小川が流れ、“ツアーで最もタフな最終ホール”の異名も持っている。

 ◆全米プロ 世界4大メジャーのひとつ。レッスンプロやコース管理のプロらを管轄する米プロゴルフ協会主催で、毎年8月(昨年は五輪の影響で7月)にコースを変えて実施。第1回は1916年に行われた。当初はマッチプレー形式で行われていたが、58年からはストロークプレー形式に変更された。最多優勝はウォルター・ヘーゲン(21、24~27年)とジャック・ニクラウス(63、71、73、75、80年)が5回で並ぶ。史上最年少優勝記録は22年大会ジーン・サラゼン(米国)の20歳5か月22日。日本人最高は88年の中嶋常幸の3位。

 ◆クウェイルホロー・クラブ 米南東部ノースカロライナ州シャーロットのアップタウンから約10キロにあり、今回がメジャー初開催。左右に林があるホールが多い難コース。昨年まで米ツアーのウェルズ・ファーゴ選手権が開催され、松山は14年38位、15年20位、16年11位だった。昨年の米ツアー開催後に、芝がバミューダに張り替えられ、3つの新しいホールが造られた。

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