◆女子プロゴルフツアー アクサレディス 最終日(31日、宮崎・UMKCC)
昨季下部ツアー4勝で賞金女王の河本結(20)=エリエール=が4バーディー、2ボギーの70をマークし、5打差のぶっちぎりでツアー初優勝を飾った。13年の堀奈津佳の持つトーナメントレコードを6年ぶりに更新する通算15アンダー。「黄金世代」と呼ばれる1998年度生まれからニューヒロインが誕生した。日本人の開幕4連勝は2005年以来14年ぶりとなった。
桜が満開の南国で、女子大生プロが気持ちの強さを発揮した。2位と4打差で出た河本は1番、今大会37ホール目で初のボギー。追う脇元はバーディーでいきなり2差となった。「逆に焦りがなくなって、落ち着けた」。5番はエッジから5メートル、8番は3メートル半、11番は6メートルを決めてバーディーを重ねる。最終18番パー5。第1打を打つ前、「2オンを狙ってバーディーを取る」と宣言。フェアウェーからの第2打をピン奥14メートルにつけた。イーグルパットは数十センチ外したが、ウィニングパットを沈めて有言実行のバーディー締めだ。臼井、脇元のルーキー3人による最終日最終組対決で一度も首位を譲ることなく、後続に5打差をつける圧勝だった。
スタート前の練習場に向かう途中、アクシデントが起きた。今大会でキャディーを務めたのは、男子ツアー国内開幕戦・東建ホームメイトカップ(18~21日・三重)に推薦出場するトップアマで、日体大ゴルフ部の1年後輩、弟・力(りき、19)。キャディーバッグにぶら下げる河本のお守りが観客のカバンに引っかかり、担ぐ弟が体勢を崩して転んだ。両手から大量出血。河本は「大丈夫? あとは私がやるから消毒して」。弟は救護室で約20分治療。その間、河本は練習場から電話で「骨折しても力がいい」と伝え、弟も「余裕。俺がやる」と姉のサポートに戻った。「弟がそばで支えてくれたから優勝できた」と感謝のハグ。優勝副賞のベンツは弟にプレゼントした。
大学のゴルフ部の活動に専念し17年のプロテストは受けなかった。18年、同じ98年度生まれの勝みなみらに1年遅れて合格。黄金世代の優勝は勝、畑岡奈紗、新垣比菜、大里桃子に続き5人目。「同級生が頑張っているので追いつきたい気持ちはすごくあった」。優勝して世代の筆頭格に名乗り出た。
米ツアーへの憧れが強い河本は、2年前からコーチを務める目澤秀憲氏(28)と「3か年計画」を立てた。今季は賞金ランク5位以内。来季は賞金女王。そして23歳になる21年に米女子ツアー出場だ。「米ツアーの優勝争いを想像しながら頑張っている」。20歳は夢の続きを追いかける。(宮下 京香)
▼生まれ 1998年8月29日、愛媛・松山市
▼ゴルフ歴 両親の影響で5歳で始め、2012年のマンシングウェアレディース東海クラシックに14歳でツアーデビュー。昨季は下部ツアー4勝で賞金女王に輝き、今季前半戦の出場権を獲得。17年のプロテストは日体大ゴルフ部の活動に専念するため受験せず、18年に9位で合格
▼家族 両親と弟
▼趣味 米男子ツアーの映像を見ること。タイガー・ウッズに憧れる
▼好きな食べ物 肉とチョコレート。チョコは常にキャディーバッグに入っているが、この日はニキビを気にして食べていない
▼リボン ファンからのプレゼントを含め20種類ほど所有。この日はウッズの勝負服にちなみ赤を選択