故郷・熊本への思いを胸に有村が好スタート「熊本は元気だモン」


初日を終え、会場を訪れた、くまモンとハグをする有村智恵

初日を終え、会場を訪れた、くまモンとハグをする有村智恵

 ◆女子プロゴルフツアー KKT杯バンテリンレディス 第1日(19日、熊本空港CC=6428ヤード、パー72)

 地元の熊本出身の有村智恵(31)=日本HP=が1イーグル、2バーディー、2ボギーの70で回り、首位と3打差の6位と好スタートを切った。愛する故郷は3年前に大地震で被災し、さらに今大会は放映権の帰属を巡って主催者と日本女子プロゴルフ協会が対立し、あわや消滅するピンチにも見舞われた。思い入れの強い地元大会で昨年7月のサマンサタバサレディース以来のツアー通算15勝目を目指す。

 酒井美紀(27)=国際スポーツ振興協会=が67で回り、首位。1打差の2位に永井花奈(21)=デンソー=、大西葵(24)YKK AP=、韓国のイ・ソルラ(28)=九電工=が続く。

 地元・熊本のファンの声援を受けて、有村がスーパーショットを放った。17番、380ヤードのパー4。残り137ヤードの第2打を9アイアンでカップに沈めた。「入ってくれました。ギャラリーの大歓声で分かりました」と満面の笑みで話した。値千金のイーグルで首位と3打差の6位と好発進を決めた。

 今大会に対する思い入れは強い。

 3年前、4月14日夜と同16日未明に震度7の大地震が2回も発生した。「コースから自宅に帰る時、(被害が大きかった)益城を通るのですが、まだまだ、復興とは言えないと感じます」と有村は神妙な表情で話す。主催者が「例年通り開催されることが、復興への歩みに繋がって行くのだと感じます」と開催の趣旨を説明する今大会で地元選手が活躍する意味は大きい。「最後の最後まで諦めずにプレーします」と有村はきっぱりと話した。

 今大会は放映権の帰属をめぐり、消滅のピンチもあった。昨年12月の今季ツアー日程発表時では外れていた4試合のうちの今季最初のトーナメント。紆余(うよ)曲折を経て、今年1月にようやく継続が決まった。「ゴルフを始めた時、この大会を見に来て、女子プロゴルファーのすごさに魅了された。私もこんな人になりたいと思った。この大会がなかったら、プロゴルファーを目指していなかったと思います。夢を見させてもらった場所です。ここに帰って来られてうれしい。熊本はゴルフが好きな人が多いので開催できることを多くの人が喜んでいると思います」。有村は地元大会への思いを熱く語る。

 昨年大会では全く見せ場をつくれなかった。1番の第1打をいきなり右にOB。ダブルボギーをたたいた。最悪のスタートが響き、予選落ちを喫した。

 それから1年。この日は第1打をしっかりと約270ヤード飛ばすと、残り100ヤードの第2打を52度のウェッジでグリーンに乗せ、10メートルのバーディーパットをねじ込んだ。「去年、いきなりOBを打ったことはもちろん覚えていましたけど、去年とは違う、と自分を信じて1番に臨みました」。昨年とは対照的な好スタートに胸を張って話した。

 首位とは3打差。「とにかく上を目指して行きます。明日(20日)一番上(トップ)が見える位置まで行きたい」と昨年7月以来のツアー優勝へ意欲を示した。

 ホールアウト後は、熊本の人気ゆるキャラ「くまモン」と記念撮影。その背後の看板には力強い言葉が記されていた。「熊本は元気だモン」

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