復活の美人プロ・藤田光里の笑顔を思い切り撮影したい


笑顔でラウンドする藤田光里(カメラ・今西 淳)

笑顔でラウンドする藤田光里(カメラ・今西 淳)

 笑う門には福来る―。女子プロゴルフツアーのフジサンケイレディスは、元世界一の申ジエ(韓国)が最終日コースレコードで7打差をひっくり返す圧巻の優勝で幕を閉じた。そんな中、主催者推薦で出場し、通算5アンダー5位と健闘した藤田光里(24)=レオパレスリゾートグアム=の弾ける笑顔がとても印象的だった。カメラマン仲間と「彼女のこんな笑顔は久しぶりだよね!」と話すほど、打順を待つ間も、ショットを終えても常にニコニコと笑顔のラウンド。撮影しているこちらが幸せを感じるほどだった。そこには様々な試練を乗り越えた上で、復活へ気持ちの切り替えがあった。

 14年にツアーデビューを果たした藤田は、可愛い笑顔と豪快なショットでギャラリーやカメラマンを魅了。15年には同大会で初優勝し、シード権を獲得するなど人気と実力を兼ね備えたツアー屈指の美人プロだ。だが翌16年末、そんな順風満帆のプロ生活が暗転する。11月に左ヒジの故障でゴルフどころか日常生活もままならない状況に陥り、同年12月には最愛の父・孝幸さんが急逝。17年にはそれらの影響からか予選落ちを繰り返し、シード権を失った。この頃私は何度もトーナメントで藤田を取材しているが、ファインダー越し見る憤怒ともつかぬ悲壮感漂う表情は、痛々しくてシャッターを押すのをためらわせるほどだった。

 同じ頃の17年2月、本紙インタビューに応じた藤田は、試練を乗り越えるための目標を色紙に「笑門来福」と記し、「シーズンを通して笑っていたいので」と語っていた。18年1月に手術に踏み切り成功、リハビリを経て徐々に回復し、握力も戻ってきているそうだ。「人は幸せだから笑うのではない。笑うから幸せなのだ」とは外国の哲学者の言葉だ。笑顔は人を惹きつけ、周囲や自らを幸せにする力がある。

 大会2日目を終え上位で予選通過した藤田は、約1年ぶりの決勝ラウンドを前に「気負わず1打1打、自分に出来るベスト尽くして。ミスショットが出ても自分に怒らなくなりました」と語った。結果は3年ぶりのトップ5入りで復活の狼煙を上げた。今季は下部ツアーでも好成績を挙げ、ツアー後半戦の出場権を争うリランキングも現在24位まで上昇している。今後も出場試合は限られるだろうが、もしどこかのトーナメントで取材の機会があれば、満面の笑顔を思う存分撮影したい。それが優勝の瞬間だったら最高だ。(記者コラム・今西 淳)

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