◆女子プロゴルフツアー センチュリー21レディス 第2日(27日、埼玉・石坂GC、賞金総額8000万円、優勝1440万円、観衆6744)
4位スタートの金田久美子(29)=スタンレー電気=が4バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの71で回り、通算4アンダーとして3位に浮上。2011年のフジサンケイレディス以来、8年ぶり2度目の優勝に向けて好位置につけた。ツアー史上最年少となる11歳11か月で初出場してから、ちょうど18年。元祖天才少女は今も戦い続けている。1年前にプロテストに合格した稲見萌寧(もね、19)=都築電気=が通算7アンダーで首位浮上。原英莉花(20)=日本通運=が2打差2位に続く。
元祖天才少女は“大人”のゴルフでピンチを乗り切った。14番パー4。金田は第1打を右に曲げてOB。打ち直しの後も苦しみ、第5打はピンまで15ヤード、逆目の深いラフからの難しいアプローチが残った。「トリプルボギーかな」と覚悟したが、フワリと上げたボールはピン20センチへ。ダブルボギーでしのいだことで悪い流れを止め、首位と3打差の3位で第2日を終えた。
1998年、世界ジュニア選手権を、あのタイガー・ウッズ(米国)の最年少記録に並ぶ8歳で制覇。18年前のこの日、小学校6年生ながらツアー史上最年少でデビューした(79で97位)。「元祖天才少女」と呼ばれ続け、10代から20代前半は「ゴルファー」と「ギャル」を合わせて「ギャルファー」を自称していた金田も8月14日に30歳となる。「30歳になりたくない。中学生の頃は30歳でもゴルフを続けているなんて想像できなかった。あの頃、30歳はおばちゃんと思っていた」と苦笑いする。
21歳の時、11年フジサンケイレディスで初優勝を飾ったが、以来、栄冠から遠ざかる。17、18年は賞金シードを手放し、今季もここまで賞金ランク73位と低迷しているが「ハーフショットの練習に力を入れて、6月からいい球が増えてきた」と手応えを明かす。
元祖天才少女が低迷している間に98年度生まれの「黄金世代」が台頭した。「飛ぶし、うまいし、攻める。若いっていいですね」と屈託なく話す。反抗期だった高校時代、父でコーチの弘吉さん(76)と衝突し、練習をさぼっては夜遊びを重ねていた“幼さ”は消え、すっかり“大人”になった笑顔を見せた。
首位の稲見は10歳下。2位の原英は9歳下。若いライバルと争う最終日に向けて金田は冷静だ。「まだ、納得できていないからゴルフを続けている。明日も納得をするゴルフがしたい」。その表情に迷いはなかった。(竹内 達朗)