◆米女子プロゴルフツアーメジャー第5戦AIG全英女子オープン最終日(4日、ウォバーンGC=6756ヤード、パー72)
42年ぶり2人目のメジャー優勝の快挙を達成した渋野日向子(20)=RSK山陽放送=の持ち味は、未知数の爆発力だ。最終日、前半は37と苦戦したが、後半は31をたたき出した。第3日も後半は30をマークした。
国内メジャーのワールドレディスサロンパスカップ(5月9~12日)でツアー初優勝を飾り、脚光を浴びる3週間前。まだ“無名”だった渋野が未知数の爆発力を発揮した試合がある。
KKTバンテリンレディース(4月19~21日)。第1日、渋野は1バーディー、8ボギー、1ダブルボギーの81をたたき、最下位に沈んだ。
プロゴルファーが80台をたたくのは、普通、あり得ない。思い通りに体が動かないイップスが疑われるくらいの異常事態だ。
だが、しかし、渋野は、その翌日、1イーグル、6バーディー、2ボギーの66をたたき出した。その日の平均が73・50まで落ち込んだ難コースの熊本空港CCでは突出する好スコアだった。全選手の中でベストで、前日の自身より15打も良かった。最下位から50位に浮上して予選通過。最終日も68で回り、結局、20位になった。
プロゴルファーが一日で、15打もスコアがよくなることは、普通、あり得ない。アマチュアゴルファーではよくあることだが。
「初日も、そんなに悪いゴルフをしたわけではなかったんです。ミスが重なって81になってしまっただけなので」
あの時、渋野はハキハキと答えた。トレードマークの笑顔を振りまきながら。
日本ゴルフ史に残る偉業。4か月前、熊本で、その萌芽(ほうが)があった(後付けと言われるかもしれないが)。