渋野日向子、ソフトボールを生応援…復帰初先発の上野がノーヒッター 


客席で応援する渋野日向子

客席で応援する渋野日向子

 ゴルフのAIG全英女子オープンでメジャー優勝を遂げた渋野日向子(20)=RSK山陽放送=が8日、兵庫・豊岡市で、小学生時代から「神様」と憧れるソフトボール女子日本代表エース・上野由岐子投手(37)=ビックカメラ高崎=が先発した日本リーグの試合を観戦した。初めて生で応援した試合で、上野はノーヒットノーランを達成。渋野は、20年東京五輪に向け、ソフト代表とそろって金メダルを獲得する目標を改めて掲げた。

 憧れの上野がマウンドに上がると、スタンドの渋野の体は自然と前のめりになった。2回2死、この日初めての三振奪取には「よし」と声を出し拍手を送る。上野は4月の負傷から復帰後初先発ながら、ノーヒットノーランも達成し、渋野の声援に応えてみせた。試合後、渋野は「生では初めて。まさかのまさかです。感激です」と興奮気味だった。

 小学生時代は、ソフトボールチームにも所属していた渋野。2008年の小4時、指導を受けた平島スポーツ少年団ソフト部監督・岩道(いわどう)博志さんが「見て勉強せい」と渋野に北京五輪のテレビ観戦を促した。毎試合、画面に張り付き、一人投げ抜いて金メダルに輝いた上野に憧れを抱くようになった。母・伸子さんも「新聞記事を切り抜いていた。今も憧れている」と明かす。

 この日の上野は最終7回2死まで外野に飛ばさせない投球で5奪三振、2四球、完全試合を含めて自身リーグ15度目のノーヒットノーランも達成。ビックカメラ高崎がシオノギ製薬を6―0で下した。渋野は「上野さんは北京五輪の時と全然変わらなくて、すごい」と語った。

 7日にはテレビ番組の収録があり、試合会場の但馬ドーム近くで上野と初対面。「神様が目の前にいる! 緊張の手汗がすごかった」と特別な時間を振り返った。上野も「すごくいい刺激をいただいた。その結果が(8日の登板で)出せてよかった」と渋野から力をもらっていた。

 渋野は全英優勝で世界ランクを一気に上げ、20年東京五輪出場圏内の13位。一方、上野は北京五輪に続き、エースを任される。「上野さんは確実に出られると思うので、私が頑張らないと。やっぱり出たい。それ(金メダル獲得)が最高の目標です」と渋野。まずは、目前の12日開幕・日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯(兵庫・チェリーヒルズGC)へ「上野さんのプレーを見て、やる気は2倍になった」。憧れの人と同じ五輪金に向け、ギアを上げていく。(宮下 京香)

 ◆渋野の上野への憧れ語録

 「自分のゴルフより、上野さんの方が気になる」

 (5月10日・国内初優勝したワールドレディスサロンパスカップの第2日、会見で4月に大けがを負った上野について聞かれ)

 「自分が出て(ソフトの)選手に会いたい」

 (7月7日・国内2勝目を挙げた資生堂レディス優勝会見で。世界ランクの浮上が見込まれ、東京五輪出場が現実味を帯び)

 「私が五輪に出られても、出られなくても、ソフトは絶対に見に行きたい」

 (同10日・ニッポンハムレディス練習日。世界ランクが自己最高の50位に浮上し)

 「本当ですか。刺激をもらっているのは私の方なので光栄。頑張りたい」

 (8月30日・ニトリレディス第2日、この日にけがから復帰登板した上野が「親近感がわく」と話したことを伝えられ)

 ◆渋野と上野の東京五輪への道 女子ゴルフは20年6月30日時点の世界ランクを基準に算定する五輪ポイント上位60人が出場権を獲得。〈1〉同ランク15位以内は各国・地域で最大4人〈2〉16位以下は〈1〉の有資格者を含み最大2人が出られる。渋野は現在13位で、9位の畑岡奈紗(20)に続く日本人2番手の出場圏内。ソフトボールは、開催国の日本はすでに出場権を得ている。上野は北京五輪に続き、エースとして日本をけん引する。

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