「やってやったよ」ドヤ顔にウッズの喜びみた…米ツアー取材歴20年・大泉英子さん観戦記


12番、ティーショットを放つタイガー・ウッズ(カメラ・相川 和寛)

12番、ティーショットを放つタイガー・ウッズ(カメラ・相川 和寛)

 ◆米男子プロゴルフツアー ZOZOチャンピオンシップ 最終日(28日、千葉・習志野CC=7041ヤード、パー70)

 米ツアー取材歴20年のゴルフライター・大泉英子さんが、日本初開催の米男子ツアーの印象や舞台裏などをスポーツ報知に語った。優勝したウッズが見せた“ドヤ顔”や、20年ぶりに1日2万人以上が来場した大ギャラリー、豪雨による前代未聞の無観客試合や140ヤードのパー4の設定など、ツアー側の感想なども交えて観戦記で紹介する。

 * * * *

 今大会で私はメディアではなくて運営のお仕事をさせていただきました。裏方として大会を見させていただいて、いろんな発見がありました。

 ウッズの優勝には驚きました。マスターズ優勝後、良いところがなくて8月下旬に左膝を手術して初戦で。「体が回らない」「年を取った。もう若い頃の自分じゃない」などとネガティブな発言も見聞きしていたので。もしかしたら棄権もあるかなと思っていた。

 さらに、日本での大会出場は13年ぶりとなる今回は、仕事をかなり詰め込んでいて。先週の日曜日はナイキのイベント、月曜日はスキンズマッチ、水曜日はプロアマ戦、28日は優勝後にバンテリンのイベントへ。彼の普段の大会前のルーチンからするとオーバーワークかな、と心配していました。

 ところが、第1ラウンド後、練習グリーン付近で遭遇したら「やってやったよ」というような、いたずらっぽいドヤ顔を向けてきて。3連続ボギーからの9バーディー奪取で首位発進―。久しぶりに来た日本で、ギャラリーの反応の大きさがうれしかったんだと思います。

 27日は2万2678人の大観衆が来場した。PGAツアーを見たい人が、日本にこんなにいたんだと驚きました。大会にウッズを連れてきた前澤友作・大会名誉会長の功績は計り知れません。目の肥えた子供のギャラリーの多さにも驚いた。発音のいい英語で選手に声をかけたり、声援を送ったり。「まるでメジャー大会みたいだ」と、数多くのPGAの選手が日本人のギャラリーの質の高さを褒めてくれていました。

 残念ながら25日は豪雨に見舞われ、前代未聞の展開となりました。PGAツアーは72ホール完遂にこだわる。月曜日や場合によっては火曜日、水曜日も使う。そのために第2ラウンドは無観客試合、10番は140ヤードのパー4にするなど苦渋の決断もしました。テレビ中継やボランティアの都合などで、短縮競技を視野に入れる日本ツアーとの違いです。

 ネット環境やスマホ撮影への対応、周辺の渋滞など来年への課題も見えた。ウッズの優勝で世界中が話題にし、ZOZOチャンピオンシップの知名度は急上昇した。来年はいいお天気で4日間できればさらに盛り上がると思います。

 ◆大泉 英子(おおいずみ・えいこ)早大卒業後、1993年にゴルフ誌「アルバ」に入社。主に国内男子ツアーを担当し、97年に「ゴルフトゥデイ」入社。18年3月の退社まで約4年間、編集長を務めた。2000年、連載を担当していた丸山茂樹の米男子ツアー本格参戦を機に、米ツアーを毎月取材。親交の深い海外選手も多い。男女、シニアの海外メジャー取材は計100試合超。海外取材担当記者・編集者として現在も活動中。全米ゴルフ記者協会会員。

最新のカテゴリー記事