◆女子プロゴルフツアーヤマハレディース葛城第2日(2日、静岡・葛城GC山名C=6564ヤード、パー72)
首位タイスタートの山下美夢有(19)=加賀電子=が4バーディー、1ボギーの69で回り、通算9アンダーで単独首位に立った。まだ獲得賞金が0円だった昨年8月に約300万円で購入した弾道計測器「トラックマン」を活用し、急成長。先行投資を惜しまなかった19歳プロは虎視たんたんと初優勝を目指す。2打差の2位は高橋彩華(22)=東芝=。首位タイから出た小祝さくら(22)=ニトリ=は最終18番でまさかのトリプルボギーをたたき、5打差の7位に後退した。
今季からツアーに参戦する19歳が強風が吹き荒れた難コースで耐えた。「番手選びが難しかった」。69で回り、単独首位に立った山下は冷静に振り返った。
昨年6月にプロデビューしたが、3試合連続で予選落ち。プロの壁にぶつかっていた同年8月、距離やスピン量など正確な数値を計測できる「トラックマン」を購入した。「約300万円。一番高い買い物でした」。国内外のトッププロは持っている選手が多いが、当時の山下の生涯獲得賞金は0円。自らの将来を信じ、思い切った先行投資だった。
トラックマンを活用した練習を始めると成績は急上昇。トップ10に3回入り、前週まで1396万6914円を稼いだ(賞金ランク47位)。すでに先行投資した300万円を回収。賞金総額1億円、優勝1800万円の今大会でさらに大きなリターンを目指す。「一打一打に集中し、チャンスが来れば取りたい」と初Vに意欲を示した。
水を入れた約20キロのポリタンクで筋力トレーニングに励み、体重は公称の52キロから増量。「今、57キロです。3食、しっかり食べています」と屈託なく笑う。
約300万円のトラックマンと1000円ほどのポリタンク。両極端の“商売道具”を生かす19歳はトッププロへの道を着実に歩んでいる。(竹内 達朗)