◆米男子プロゴルフツアー メジャー21年初戦マスターズ最終日(11日、米ジョージア州オーガスタナショナルGC=7475ヤード、パー72)
4打差11アンダーの単独首位で最終日を迎えた松山英樹(29)=LEXUS=が、日本男子初となる悲願のメジャー制覇を達成。通算10アンダーで初優勝した。松山が初の一ケタ順位でホールアウトした2015年を振り返る。所属は当時。
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◆米男子プロゴルフツアーメジャー第1戦 マスターズ最終日(2015年4月12日、米ジョージア州オーガスタナショナルGC)
松山英樹(23)=LEXUS=が日本男子初のメジャー制覇に大きな自信をつけた。10位から出て1イーグル、4バーディー、ボギーなしのベストスコア66をマーク。日本人最少スコアの通算11アンダーで、自身メジャー最高の5位に入った。マスターズ2回出場の羽川豊さんも「可能性は十分」と、メジャー次戦の全米オープン優勝に期待。21歳のジョーダン・スピース(米国)が大会最少スコアに並ぶ18アンダーで初優勝を果たした。
まるで勝者をたたえるようだった。松山が最終18番グリーンへ歩み寄ると、周囲のパトロンは総立ち。スタンディングオベーションで出迎えた。それに応えるように松山は3メートルのバーディーパットを沈め、ベストスコアの66締め。「60で回れたことはすごくうれしい」と緑豊かな世界一美しい難コースでのノーボギーラウンドに胸を張った。
最大の見せ場は“アーメンコーナー”の出口で訪れた。13番パー5だ。残り209ヤードの右の松林の枯れた葉の上からの第2打。「少しカット気味に打った」。5アイアンでスライスをかけ、ピン左4メートルへ2オンに成功。両膝を折りながら、日本人初の3日連続イーグルとなるパットを沈め、右拳を突き出した。
マスターズ日本人最少スコアでもある66で、最終日に強烈な輝きを放ったが、6日の練習場で左手首痛に顔をゆがめるなど状態は万全ではなかった。それでも日本人初の4日間連続アンダーパーで、自身メジャー最高の5位。パットに苦しむ中、アイアンショットに加え、ドライバーの精度も1段階上がったことを証明し「納得いくプレーが4日間続けば絶対上位にいられる」と世界の頂点で戦う自信を得た。
TBSのリポーターとして、松山の過去4度の挑戦を全て見た芹沢信雄は「ここで勝つには、硬いグリーンで止められる高い球と300ヤードを超える飛距離が必要。米ツアーに参戦してどちらも成長した。あと2回くらい出場すれば、いつ勝ってもおかしくない」と近未来の日本男子初の4大大会制覇に太鼓判を押した。
マスターズには特別な思いがある。初出場は東日本大震災直後の11年3月。大学時代を仙台で過ごした松山は日本人初のローアマとなり、被災地にエールを送った。憧れのタイガー・ウッズ(米国)のメジャー初優勝も97年大会で「一番勝ちたいメジャー」と公言してきた。
12位以内に与えられる来年の出場権を獲得。01年4位の伊澤利光は33歳、09年4位の片山晋呉は36歳だったが、松山はまだ23歳。「来年はしっかりと優勝争いできる位置で4日間戦いたい。優勝したときに歴史が変わると思う」。次戦は29日開幕の世界マッチプレー選手権。メジャーは6月の全米オープン。「やっぱり一番大事かな」というパットを磨き、1年後再び夢舞台に挑む。