![2年ぶりに優勝し、バンザイして喜んだ勝みなみ(カメラ・豊田 秀一)](https://golf.hochi.co.jp/wp-content/uploads/2021/05/20210530-OHT1I51283-L.jpg)
2年ぶりに優勝し、バンザイして喜んだ勝みなみ(カメラ・豊田 秀一)
◆女子プロゴルフツアー リゾートトラストレディス最終日(30日、愛知県セントクリークGC=6605ヤード、パー72)
1打差2位から出た勝みなみ(22)=明治安田生命=が3バーディー、1ダブルボギーの71で回り、通算9アンダーで今季初優勝、2年ぶりの通算5勝目を挙げた。キャディーを務めた母・久美さん(54)との親子コンビではプロ初V。次週、勢いに乗って海外メジャー全米女子オープン(6月3~6日)に臨む。首位から出た工藤遥加(28)=フリー=は79と崩れ、15位に沈んだ。
裸で素振りをした、という伝説を持つ“ミスター”のような努力とひらめきで、2年ぶりに勝が勝った。約3メートルのウィニングパットを沈めると、キャディーの母・久美さんと笑顔で喜びを分かち合った。
昨年1月から体力トレーニングを始め飛距離が大幅にアップした。一方でミスショットした時の曲がり幅が大きくなるなどスコアメイクに苦しみ、前週まで賞金ランク38位と伸び悩んでいた。ただ、苦しい時も努力を忘れなかった。母は衝撃のエピソードを明かした。
「お風呂に入っていても、自分のスイングの動画を見ています。風呂から飛び出して真っ裸でスイングすることもありました。『とりあえず服、着ようね』と言いますけど。こんなに頑張っているんだから、また、いつか勝つ、と思っていた」
大の阪神ファンの勝は、巨人の長嶋茂雄・終身名誉監督(85)と同じ天才肌であり、努力家だった。母の証言について問われると、恥ずかしながらも「ゴルフが好きなんです」と笑顔で話した。
14年4月、KKT杯バンテリンレディスで日本女子ツアー史上最年少15歳293日で優勝。逸材がそろう1998年度生まれ「黄金世代」の筆頭格が同世代日米通算30勝目を、プロで初めて母とのコンビで挙げた。
元教師の久美さんは最高のメンタルトレーナーでもある。第2日の11番で右に曲げるミスをした勝が「悪いイメージが出た」とぼやくと「一度の失敗で、そんなこと言わない。次に切り替える」と助言。「キャディーをして、おにぎりを作ってくれて、洗濯をして、移動の運転もしてくれる。でも『大変』とか言わない。母はすごい」。週3回、一緒にトレーニングする久美さんに感謝の言葉を並べた。
次週は全米女子オープンに挑む。31日に久美さんと一緒に米国に出発。「両方(日本と海外)のメジャーを勝ちたい」と勝は野望を明かす。母と二人三脚の挑戦は続く。(竹内 達朗)
◆勝の優勝用具 ▽1W=スリクソンZ785(ロフト角10・5度、シャフト45・25インチ、硬さS)▽5W=スリクソンZX▽4U=スリクソンZX▽4I=スリクソンZX7▽5~9I、PW=スリクソンZフォージド▽ウェッジ50度、54度、58度=クリーブランドRTX▽パター=タイトリスト・スコッティキャメロンGSS▽ボール=スリクソンZスターXV(パター以外は住友ゴム工業社製)
◆勝 みなみ(かつ・みなみ)1998年7月1日、鹿児島市生まれ。22歳。8歳からゴルフを始める。鹿児島高に入学直後の2014年4月、KKT杯バンテリンレディスで日本女子ツアー史上最年少15歳293日で優勝。73年の清元登子、03年の宮里藍に続くアマ優勝を成し遂げた。17年7月のプロテストに一発合格。ツアー通算5勝。賞金ランクは18年9位、19年10位。157センチ、56キロ。