◆ジュニアゴルフ世界メジャー ジュニア欧州選手権10歳女子の部 第2日(1日、英国スコットランド・ロイヤル・マッセルバラGC=3983ヤード、パー72)
2位に5打差をつけて首位からスタートした須藤弥勒(10)=ゴルフ5=は4バーディー、ボギーなしの68で回り、通算5アンダーとして2位との差を7打に広げ、がっちり首位をキープした。世界ジュニアメジャー4勝を誇り「天才少女」と呼ばれる弥勒がジュニア世界メジャー5勝目&史上初のジュニア4大メジャーのグランドスラムへ王手をかけた。今大会は3日間54ホールで争われ、2日に最終ラウンドが行われる。
今大会はコロナ禍の影響で予選が行われず、大会主催者がこれまでの実績で選考した世界トップレベルの選手を招待。10歳女子の部は16人が招待され、13人が出場した。弥勒は並み居る強豪を相手に圧倒的な存在感を発揮している。第1日に2位と5打差のロケットスタートを決めた弥勒は第2日も出場選手で最高の68をマークし、2位との差をさらに広げた。
「今日は、朝から晴れていて風もなく、スコットランドに来てから一番の天気でした。みんな、スコアを伸ばしてくるだろうな、と思っていたら、その通りに、みんな、初日よりスコアが良かったですね」と弥勒は冷静に第2ラウンドを振り返った。
2位スタートのジュリー・フー(米国)が1、2番で連続バーディーを奪い、一時、3打差に迫られたが、3番でバーディーを奪うと、その後、独走態勢を築いた。キャディーとして共に戦う母・みゆきさんは「スコットランドのコースは無風であれば、そんなに難しくなくて、ロングヒッターにはとても有利です。私たちは自分たちができるゴルフに徹しよう、と弥勒と確認しながらプレーを続けました」と話した。
ジュニアゴルフ界では、歴史や予選会を含めた参加人数の多さなどで、世界ジュニア(米カリフォルニア州サンディエゴ)、キッズ世界選手権(米ノースカロライナ州パインハースト)、マレーシア世界選手権(マレーシア・ジョホバール)、ジュニア欧州選手権(英国スコットランド)が4大メジャーと言われている。弥勒は2018年と19年に世界ジュニアを史上最年少で連覇。2020年にマレーシア世界選手権で優勝。昨年、キッズ世界選手権を制した。これまで3タイトルで計4勝。今回、ジュニア欧州選手権を制すればメジャー5勝目で、史上初のジュニア4大メジャーのグランドスラム達成となる。
偉業達成に向けて、ついに王手。「最終日、みんなも必死にプレーすると思います。風が吹くと、いくつか『死のホール』と呼ばれているほど難しいホールがあるので集中してプレーします。何としても、このタイトルを取り、史上初のジュニアグランドスラムを達成したいと思います」。弥勒は残り18ホールに向けて決意を語った。
今年1月からアマ資格の規定が大幅に改定され、アマチュアゴルファーも無制限でスポンサー収入を得ることが可能になり、10歳ながら抜群の存在感を持つ弥勒のもとにはオファーが殺到。その中で、ゴルフ専門店のゴルフ5と所属契約とマネジメント契約、家具などの企画・販売を行う国内有数の大手ニトリとスポンサー契約を結ぶなど、弥勒のスポンサー企業は計8社に及ぶ。大きな注目と重圧にも負けず、弥勒は新たな金字塔を打ち立てようとしている。
◆須藤 弥勒(すとう・みろく)2011年8月6日、群馬・太田市生まれ。10歳。2歳からゴルフを始め、東大出身の父・憲一さんの緻密な指導で成長を続けている。17、18年に世界ジュニアゴルフで連覇。現在、ドライバーの飛距離は220~230ヤード。家族は父、元フィギュアスケート選手の母みゆきさん、兄・桃太郎君、弟・文殊君。145センチ、52キロ。