ジュニアゴルフ世界メジャーのジュニア欧州選手権(5月31日~6月2日、英国スコットランド・ロイヤル・マッセルバラGC)10歳女子の部で優勝し、史上初のジュニア4大メジャーのグランドスラムを達成した須藤弥勒(10)=ゴルフ5=は5日、経由地のロンドンで大英博物館を見学した。「国内外にゴルフ遠征した際、各地の文化に触れる。ホテルとゴルフ場の往復だけということは絶対にしない」という須藤家の教育方針のもと、弥勒は大英博物館で見聞を広めた。
2018、19年に世界ジュニア(米カリフォルニア州)を連覇。20年にマレーシア世界選手権(マレーシア・ジョホバール)、21年にキッズ世界選手権(米ノースカロライナ州)を制した弥勒は今回、ジュニア欧州選手権で2位に12打の大差をつけて圧勝し、ジュニアメジャー5勝目。そして、史上初のジュニア4大メジャーのグランドスラムを達成した。
快挙を成し遂げた後、弥勒は遠征に帯同している父・憲一さん、母・みゆきさん、兄・桃太郎君、弟・文殊君と共にスコットランドのマッセルバラからロンドンに移動。この日は6時間以上をかけて大英博物館を見学した。「やはり、すごかった。特にエジプト展でのミイラが何体もあり、驚きました」と弥勒は興奮した様子で話した。
大英博物館を見学した理由について、両親は明確に説明した。「日本各地だけではなく、世界も転戦しています。せっかくの機会を生かして、各地の文化に直接、触れて、学校では学べないことを学ぶようにしています。ホテルとゴルフ場の往復だけということは絶対にしません」と父・憲一さん。母・みゆきさんは「自分の目で見て体験することで感性を磨くことができます。教科書ではなく、生きた素材から多くのことを深く学べると考えています」と話した。
憲一さんは3人の子供に大英博物館の「陰」についても教えたという。「お父さんに『ここは素晴らしい博物館だが、昔、イギリスが植民地から持ち込んだ展示物も多く、一部では強盗博物館と呼ばれている』という裏の顔もあると聞きました。『それでも昔の貴重な物が大切に守られて研究が進むというプラスもある』とも。世界は複雑なんだなあ、と思います」と弥勒は熟慮している様子で語った。
須藤家独特の教育方針に沿って、今回の欧州遠征には弥勒だけではなく、兄弟も学校を休んで帯同した。ただ、学校の勉強もおろそかにすることはない。遠征中、毎日約3時間、東大出身の憲一さんが3人の子供に対し、それぞれ1学年上のテキストで勉強を教えているという。
今年1月からアマ資格の規定が大幅に改定され、アマチュアゴルファーも無制限でスポンサー収入を得ることが可能になり、抜群の実力と存在感を持つ弥勒のもとにはオファーが殺到。その中で、ゴルフ専門店の「ゴルフ5」と所属契約、並びにマネジメント契約。菓子・食品製造販売の「UHA味覚糖」とスポンサー契約、並びに体づくりための総合サポート契約。「いしど式」のそろばん教室を運営する「イシド」、自動車販売の「100%新車館」、飲料水製造販売の「サーフビバレッジ」とスポンサー契約。総合建設業を営むディーワイプランの住宅ブランド「ビスコッティハウス」と超異例のベルトスポンサー契約。地元の群馬・太田市に本社を置くタイヤ・ホイール専門商社の「ニッタタイヤ」とキャディーバッグのワッペンスポンサー契約。また、家具などの企画・販売を行う国内有数の大手ニトリとスポンサー契約。弥勒のスポンサー企業は計8社に及ぶ。さらにワールド山内から約140万円の超高額パターのモニター貸与というサポートを受ける。
破天荒な10歳アマチュアゴルファーは、常識にとらわれない両親の独特な教育方針によって成長を続けている。
「将来、伝説的なゴルファーになって、世界ゴルフ殿堂博物館にクラブが展示されるように頑張ります。大英博物館に展示されることは、ちょっと無理かな」と笑いながら話した。10歳の弥勒は大英博物館で大きな刺激、学び、エネルギーを得たようだ。
◆須藤 弥勒(すとう・みろく)2011年8月6日、群馬・太田市生まれ。10歳。1歳からゴルフを始め、東大出身の父・憲一さんの緻密な指導で成長を続けている。17、18年に世界ジュニアゴルフで連覇。現在、ドライバーの飛距離は220~230ヤード。家族は父、元フィギュアスケート選手の母みゆきさん、兄・桃太郎君、弟・文殊君。145センチ、52キロ。