松山英樹「優勝できなかった以外は何もない」 初日出遅れ響いた13度目のマスターズ…担当記者が見た


◆米男子プロゴルフツアー メジャー初戦 マスターズ 最終日(14日、米ジョージア州オーガスタ・ナショナルGC=7555ヤード、パー72)

 【オーガスタ(米ジョージア州)14日=高木恵】最終ラウンド(R)が行われ、2021年大会覇者で28位から出た松山英樹(32)=LEXUS=は1バーディー、3ボギーの74とスコアを落とし、通算7オーバーで38位だった。優勝候補として今大会迎えた松山の1週間を「見た」。首位からスタートした世界ランキング1位のスコッティ・シェフラー(27)=米国=が68をマークし、11アンダーで2年ぶり2度目の優勝を果たした。

 悔しさがにじんだ。松山は厳しい表情で、13度目のマスターズを終えた。「苦しいゴルフだった。それなりの順位だったっていう話。優勝できなかった以外は何もない」。林や茂みに打ち込むなどティーショットが左右に曲がり、この日のフェアウェーキープ率は35・71%で最下位。浮上をかけた最終Rは74。優勝を含むトップ10入り3度、昨年まで4年連続20位以内の大会で、ワースト3位の38位だった。

 初日の出遅れが響いた。21年にアジア勢初のマスターズ王者になった後、昨年までの2年は首痛を抱えながらのプレーを強いられた。今も腰などに痛みが出ることはあるが、当時とは雲泥の差だ。大好きなコースを、ようやく普通に近い体で回れた今年。一番勝ちたい大会を、戦える状態で迎えたからこその難しさが、あったのかもしれない。

 今季は2月のジェネシス招待優勝を含む、トップ10が3度。開幕前に「そこまで納得いくようなゴルフはできていなかった。いい準備ができているかといったら、そうでもない」と胸の内を明かした。一方で、周囲の期待は高まり、優勝予想は大会自己最高の4位に入った。去来する期待と不安の間で、スタート前には、試合中はあまり見せることのない笑顔もあった。黒宮幹仁コーチは「チーム全員が、変に力が入って初日に入った感じだった」と振り返った。

 今も松山の手には、優勝した21年大会の感触がある。シーズンオフの取材で言った。「自信をもってプレーできたのは人生初めてだったかもしれない。それを目標に、やっている。できるようになるのは、次が10年後かもしれないし、分からないけど」。日々、これでもかというほどの努力を重ねる姿は、再びあの境地に到達するためのものだ。

 3週間のオフを挟み、次戦はウェルズファーゴ選手権を予定。5月にはメジャー第2戦の全米プロ選手権(16~19日、バルハラGC)が控える。「ショットもパットも、もう少し時間がかかりそう。まず練習できる体をしっかり戻して、次のメジャーに向けて頑張りたい」。最善の準備を積み上げ、松山はまた戦いに出る。(高木 恵)

 ◆松山に聞く

 ―振り返って。

 「グリーンのコンディションが見た目よりあまり速くなくて、そこになかなか対応できなかった」

 ―ショットについて。

 「昨日終わってからと、今日の朝はめちゃくちゃ良かった。それがコースに来て、なかなか思うようにできなかった」

 ―2度目のマスターズ制覇へ見つかった課題。

 「自分のコンディションが良く、プラス、その年のコースとの相性っていうものもある。相性も良ければチャンスはあると思う」

 ―残りのシーズンへ。

 「飛距離という意味では、ここ2年間飛んでいなかったものが、ちょっとずつ戻りつつあるのが実感できた。しっかりと継続して、また残りの半年、頑張っていきたい」

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