松山英樹「苦しかった」通算10勝目 後半失速も連続バーディー締めで振り切る パリ五輪銅→盗難トラブルもめげず


◆米男子ゴルフ プレーオフ第1戦 フェデックス・セントジュード選手権 最終日(18日、米テネシー州メンフィス・TPCサウスウインド=7243ヤード、パー70)

 単独首位から出たパリ五輪銅メダルの松山英樹(LEXUS)は4バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの70で回り、通算17アンダーとし、2月のジェネシス招待以来となる今季2勝目、通算10勝目を挙げた。プレーオフシリーズでの日本勢の優勝は初。年間ポイントランクは8位から3位に浮上した。

 ビクトル・ホブラン(ノルウェー)、ザンダー・シャウフェレ(米国)と3人が15アンダーで並んで迎えた17番で、8メートルのバーディーパットをねじ込み右拳を握った。18番は158ヤードの第2打を1メートル半につけ、連続バーディー締め。2打差で逃げ切った。ホールアウト後のインタビューでは「苦しかった」と言葉を絞り出した。

 2位に5打差をつけてスタートした最終日。4、5、7番とグリーンを外しながら、アプローチで寄せてパーセーブを続けた。耐えながら迎えた8番パー3で12メートルをねじ込み、この日初のバーディーを奪った。後続との5打差をキープして折り返す独走態勢を築き、そのまま逃げ切るかと思われたが、後半にまさかの急失速。一気に大混戦になった。

 12番で3パットのボギー。14番パー3は第1打をグリーン右の池に入れるピンチに陥ったが、2メートル弱を沈めてボギーでしのいだ。15番では右ラフからの第2打がグリーン左のラフへ。グリーンを捉えるのに4打を要し、ダブルボギー。4ホールで4打スコアを落とし、一時はホブランに1打差の2位に後退しながら、終盤に勝負強さを発揮した。

 五輪後にフランスから米国に戻るため経由地のロンドンで出かけた際、盗難に遭った。一緒にいた早藤将太キャディーと黒宮幹仁コーチのパスポートを入れたバッグが持ち去られ、松山も財布を失った。銅メダルは無事だったものの、日本帰国を強いられたキャディーに代わり、普段は久常涼のバッグを担ぐ田渕大賀キャディー氏と回る緊急事態。迎えたピンチを「新鮮な感じ」とプラス材料に変えた。優勝が決まると、田淵キャディーと抱き合い、背中を優しくたたいてねぎらった。

 ◆プレーオフシリーズ 2007年に始まった制度。試合ごとの順位を換算した年間ポイントランク上位70人が第1戦、2戦目のBMW選手権は50人、最終戦のツアー選手権は30人と出場選手数が制限される。今大会とBMW選手権は優勝で2000点など通常大会の4倍のポイントが与えられる。最終戦はポイント1位は10アンダー、2位は8アンダーからスタートするハンディキャップ方式戦。ツアー選手権を制した選手が年間王者となり、2500万ドル(約37億円)のボーナスを獲得する。

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