◆女子プロゴルフツアー ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン 最終日(22日、宮城・利府GC=6638ヤード、パー72、報知新聞社後援)
悪天候によるコースコンディション不良のため9ホールのみの最終ラウンド(R)が行われ、安田祐香(23)=NEC=が4バーディー、2ボギーの34で回り、通算9アンダーで涙の初優勝を飾った。2000年度生まれ「ミレニアム世代」のエースとしてアマチュア時代に活躍。プロ5年目で悲願の1勝を手にした。21日の第2Rは中止されるなど競技は計27ホールに短縮。22日はセカンドカットが実施され、第1Rで30位までの37人がプレーした。
クールビューティーが2度泣いた。プレー中は感情を表に出さない安田が、優勝スピーチで言葉を詰まらせ、会見で天国の師匠を思い瞳をぬらした。「優勝争いしてもなかなか勝てなくて…。泣かないと思っていたけど、声援も大きく、お世話になった方々もたくさんいて。恩返しできてうれしい」。契約を結ぶダンロップの冠大会で、悲願はかなった。
この日の朝、27ホールの短縮競技が決まった。「9ホールしっかり集中しよう」。大雨に打たれながらも気持ちを研ぎ澄ませていった。11番で10メートルをねじ込みバーディーを先行。約1時間半の中断後も16番で131ヤードの第2打を9アイアンで30センチに絡ませ、17番は127ヤードを8アイアンで3メートルにつける連続バーディーで後続を突き放した。
16歳で日本女子アマを制し、国際大会でも活躍。アマチュア時代に「ミレニアム世代」のトップを走ったが、20年のプロ転向後、首や腰の痛みに苦しんだ。自分を責め落ち込む日々。その間も滝川二高で同級生だった古江彩佳や、西村優菜が勝利を積み重ねていった。SNSに届く「また勝てないのか」「体力がない」の誹謗(ひぼう)中傷に奮い立った。23年から本格的にトレーニングに取り組み、特に下半身を強化。強い風にも負けない重い球が出るようになった。
古閑美保、上田桃子、有村智恵らを輩出した名門・坂田塾に入門したのは、小学3年のときだった。ゴルフの基礎をたたき込んでくれたプロゴルファーの坂田信弘さんが7月、76歳でこの世を去った。「できればテレビで優勝している姿を見てほしかったけど、きっと天国で見てくれていると思う」。師匠に届けた1勝。安田は声を震わせ、天を見上げた。(高木 恵)
◆「終わってみれば一瞬」安田に聞く
―初優勝して今の心境。
「終わってみれば一瞬で。うれしいけどけっこうパニック。優勝スピーチとかトロフィーをいただくときのタイミングとかあまり分からなくて」
―今日のプレー。
「今日は前から強気というか、15番あたりから少し緊張もあったけど、落ち着いて、上を見てプレーできたことがよかった」
―同学年の他の選手と比較されることについて。
「すごく刺激をもらえているし、自分が全然ダメだったとしても活躍しているとうれしい。みんな米国に行って少し寂しいけど、一緒にやってきた選手が世界でも通用するゴルファーであることはすごく誇らしい」
―ホステス大会での優勝。
「すごくうれしい。ダンロップは竹田麗央さん、山下美夢有さん、小祝さくらさんとかトッププレーヤーがたくさんいるので、自分も仲間入りしたい。この大会で優勝して、クラブをたくさん見てもらえたらうれしいなという気持ちで毎年プレーしている」
◆プロ転向後全試合 母が一口おにぎり
安田の優勝を会場で見守った母・美香さん(56)は「本当にうれしい。この日を待っていたので」と涙を流して喜んだ。プロ転向後全トーナメントに同行。娘が食べやすい一口サイズのおにぎりを、毎試合毎ラウンド6個握り続けた。幼い頃から感情を表に出すことは少なく「あんまりキャピキャピはしていない。何か物事を一つするって言ったら、ちゃんとそれをやり遂げる」。宿題も必ず先に済ませてから遊ぶ真面目な子だった。ゴルフでもコツコツ努力を積み重ね、ツアー1勝を手にした。「本人の自信がついて、ポンポンと2勝目が来たら順調にいけるんじゃないかな」と今後を楽しみにした。
安田祐香(やすだ・ゆうか)
▼生まれとサイズ 2000年12月24日、兵庫・神戸市生まれ。23歳。163センチ、53キロ
▼ゴルフ歴 7歳から始め、古閑美保、上田桃子、有村智恵らを輩出した名門・坂田塾に小3で入門。17年日本女子アマで優勝しナショナルチーム入り。20年にプロ転向
▼日本女子初のオーガスタ 19年4月、米国のオーガスタ・ナショナルGCで初開催されたオーガスタ・ナショナル女子アマで3位。一躍世界から注目を浴びた
▼癒やし 愛犬イブ(トイプードル・雌4歳)と遊ぶこと
▼好きな芸能人 韓国の7人組ガールズグループ「BABYMONSTER」
▼食べ物 昔から豚肉が好きで、しょうが焼きと豚キムチが好物。しゃぶしゃぶも大好き
▼趣味 ショッピングと寝ること
▼家族 両親と姉