67歳ランガー「やめるべき時。このコースではもう競争力がない」 2勝のマスターズに今年で別れ


 【オーガスタ(米ジョージア州)7日=高木恵】男子ゴルフのメジャー初戦、マスターズは10日にジョージア州オーガスタ・ナショナルGCで開幕する。1985、93年覇者で67歳のベルンハルト・ランガー(ドイツ)は41度目の今年を最後に、マスターズに別れを告げる。7日に会見に出席し「とても感慨深い。これが私にとって最後のマスターズになると思うだけで、すでに声がかすれ始めているのがお分かりでしょう」と感傷的になった。

 延長を繰り返し7555ヤードまで伸びたオーガスタ・ナショナルGCを前に、去りどきを探ってきた。「コースはどんどん長くなり、私の飛距離はどんどん短くなっていく。他の選手が9番アイアンや8番アイアン、場合によってはウェッジを打っているのに、私はハイブリッドを打っている。もうやめるべき時。このコースではもう競争力がない」と口にした。

 ドイツの小さな村に生まれ、独学でゴルフを学んだ。強い決意と信念とともに、道を切り開いてきた。「ドイツではゴルフは何も知られていなかった。プロになったとき、これからどんなことが待ち受けているのか全く分からなかった。ロールモデルもいなかったし、自分と比較できる人もいなかった。私はただ、ドイツで誰もやったことのないことを始めた人だった」と15歳でプロ転向した1972年当時を振り返った。

 いつしか見つめる先は海を越え、ドイツ人初のメジャーチャンピオンになった。「確かに素晴らしい仕事ではあるが、家族から離れ、友人とも離れ、ホテルの部屋にいる。孤独なときもある。いつもバラ色で楽な仕事ばかりではない」。プロゴルファーという職業の過酷さについても触れ、若者たちへ「本当にうまくなるには完全に打ち込まなければならない。規律ある生活を送り、いくつかのものを犠牲にして、重要なことに集中する必要がある」とメッセージを贈った。

 昨年練習中にアキレス腱を断裂し、手術を受けた。懸命のリハビリを経て、競技に復帰した。「私は普段、ロープの中にいるときは競技者としてゴルフをプレーし、目の前の課題に取り組むことに意識を切り替える。でも、観客、家族、子供、孫、兄弟、今週私を応援してくれる友人たちを見ると、少し感情的になるかもしれない」。すべての一打に思いを込め、悔いなくラストマスターズを終える。

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