◆女子プロゴルフツアー 富士フイルム・スタジオアリス女子オープン(11~13日、埼玉・石坂GC=6585ヤード、パー72、報知新聞社など特別協力)
女子ゴルフで国内17勝を挙げ、昨季限りで第一線から退いた上田桃子さんが12、13日に読売テレビ・日本テレビ系列で生中継される富士フイルム・スタジオアリス女子オープンで地上波初解説を務める。10日にスポーツ報知のインタビューに応じ、大会の見どころ、同じ熊本出身で今季国内ツアー初出場の竹田麗央(ヤマエグループHD)への期待などを語った。(取材・構成=星野 浩司)
―地上波放送で初めて解説を務める。心境は。
「慣れないことなので、緊張します。選手の時は自分が主だけど、解説となると選手が主になる。選手がどう映るのかを意識して解説したい」
―上田さん独自の伝え方は。
「優勝したことのあるコースなので、コースのマネージメントだったり、フェードヒッターやドローヒッターでマネジメントが違うので、コースの難易度や立ち方の難しさ、普段なかなか伝わらないようなことを伝えたい。去年までプレーしていたので選手個々の武器を近くで見てきたので、私からの視点で選手の良いところが見てる方に伝わるように解説したい」
―2022年大会で優勝を飾った。最終日は2打差3位からの逆転Vだった。
「私自身が最後に勝ったところなので、イメージも良い。好きなコースだし、思い出が深い。(22年は)スタートホールから自分の中では難しいと思ってるフェードボールでセカンドショットを攻めて、イーグルで発進できた。スコア以上に、やってることがつながってるという手応えを感じてスタートできた。結果と手応えが両方あって、今日はいけるなという感覚でスタートできたのが大きかった」
―コースの難しさは。
「(今年の)セッティングを見ていないけど、アンジュレーション(起伏)がすごくあり、ドッグレッグも多い。ドローもフェードも必要で、ショットメーカーが回りやすいコースという印象。去年優勝した阿部未悠選手もそうだけど、私が勝った時も�\x81上位にいた選手はショットが自信がある選手だった気がする。グリーンの面・面に打っていくのが難しいと思う」
―特に難しいと感じたホールは。
「16番のショートホールは、ピンポジションによってすごくプレッシャーがかかる。残り少ないホールだし、優勝争いをしていたりとか、16番を抜けると17、18番と取りやすいので、16番は難しいと思う」
―今季の国内女子ツアーは、米ツアー参戦選手やベテランの選手が優勝している。
「開幕からずっと見ていて、去年までずっと上位で活躍していた数名の選手が米ツアーに行ったのは周知の事実。オフシーズンも『そこの穴を自分が奪いにいく』という気持ちがかなり強い選手が多かったのではと思う。チャンスがあるうちに…と。春先は風や雨でコースコンディションがあまり良い状態は少ないので、飛ばし屋の選手が開幕から上位にきてる印象がある。ベテランの選手の活躍も経験豊富だったり、距離が出る選手がベテランでも残ってるので、アドバンテージになっている」
―今大会は竹田麗央が今季国内ツアーに初出場する。
「彼女らしいダイナミックさ、飛距離をアドバンテージとしたスコアメイクが上手だと思う。(3月のブルーベイLPGAで)優勝争いした最初の大会で勝ちきったのが強い。何回も優勝争いするところまでいっても勝ちきれないと『自分にはこれが足りない』と、私自身も感じていた、足りないもの探しが、どうしても海外に行くとみんな陥ってしまう。競り勝てたことで、今の自分スタイルでも戦えると、シンプルになってるのではと思う。アリゾナ(3月末のフォード選手権)で予選落ちして、経験もまだまだ必要になってくるところはあるけど、表情は凜としていて、日本と変わらないスタイルで活躍していて、たくましい。すごく順調にいっている」
―飛距離は米ツアーでも武器になるか。
「飛距離は確実に大きいと思う。彼女の強みは、日本ツアーにいる時から淡々と変わらないところ。気持ちの切り替えも上手。しゃべっていても感じるけど、やっぱり熊本の子だと感じるのは、すごく負けず嫌いだなと言葉の端々に感じるし、熱い血が流れてるなと思うことが多い。自分をコントロールする能力がすごい高い」
―熊本県民は負けず嫌いが多いか。
「多いと思う。彼女と話していても、やっぱり熊本の選手だなと感じる。例えば、ボギーを打ってしまった次のホールで絶対に取り返すとか、いい方に作用してるタイプの選手だと思う。フラットにすることだけが良いわけじゃなくて、悔しい気持ちをエネルギーに変えられる選手。ここのホールは振りにいくと決めたら、いつも以上に距離を出せるのも彼女の強みだと思う」
―今大会、注目の選手やポイントは。
「開幕から海外で活躍してる選手がポン、ポンっと優勝して、竹田選手もスポンサーの大会で気合も入っていたり、私自身も海外から日本に帰ってきた時はインターナショナルメンバーというプライドを持って戦ってたし、そういう部分を見せてほしい。日本の選手も海外から帰ってきた選手が多い時に自分の実力をぶつけたいと思う。そういう時こそ実力が分かる。去年、佐久間朱莉選手がすごくいいプレーをしてて負けてしまい、地元ということもあるので、個人的には朱莉ちゃんにすごく期待しています」
―竹田の存在が今大会にもたらす影響は大きいか。
「相乗効果が生まれるといいなと思う。竹田さんも気合が入ってると思うし、それに追いつけ、追い越せで、周りの選手も普段のリーダーボードより1段、2段、想定してるスコアは上だと思うので、相乗効果が生まれると大会が盛り上がると思う」
―上田さん自身、今後の解説業の展望は。
「できるところはさせていただきたいと思う。今回は初めてだけど、ちゃんと自分ができるかも含めて、少しずつやっていきたい。ゴルフに関わる仕事を少しずつ幅を広げてやっていきたい」
―視聴者にメッセージを。
「初めての日本ツアーの解説なので、うまくしゃべるか分からない緊張感もありつつ、選手の魅力を最大限に引き出したい。1人でも多くのファンの方にゴルフの楽しさを伝えたいし、ゴルフを初めて見る方でもなるべく分かりやすく、ゴルフってこういう側面からも見られるんだと楽しんでもらえる解説になればと思う」
◆上田 桃子(うえだ・ももこ)1986年6月15日、熊本市生まれ。38歳。東海大二(現東海大熊本星翔)高卒。9歳の時、坂田塾でゴルフを始める。2005年のプロテストに合格し、同年の新人戦で優勝。07年に日本開催の米ツアー・ミズノクラシックを含む年間5勝を挙げ、21歳で当時の最年少賞金女王。08~13年は米ツアーが主戦場。24年限りでツアープロ生活に一区切りを付けた。国内17勝。21年の誕生日に結婚。161センチ。