
第1日のラウンドを終え、笑顔でキャディーと握手を交わす桑木(カメラ・山崎 賢人)
◆女子プロゴルフツアー メジャー初戦 ワールドレディスサロンパスカップ 第1日(8日、茨城GC東C=6675ヤード、パー72、報知新聞社後援)
ツアー3勝の桑木志帆(22)=大和ハウス工業=が、昨年11月のJLPGAツアー選手権リコー杯に続く、1988年のツアー制施行後13人目のメジャー連勝へ好スタートを切った。6バーディー、1ボギーの67をマークし、首位と1打差2位。高速グリーンに対応し、パット数は「25」で全体6位を記録した。今季年間女王の本命候補にも挙げられるショットメーカーが快挙に挑む。通算6勝の藤田さいき(39)=JBS=が、66で単独首位で滑り出した。
メジャー連勝のかかる桑木が高速グリーンを攻略した。この日のグリーンスピードは国内では今季最速「14と4分の1フィート」の設定。多くの選手が苦戦する中「パッティングの調子が良く、ストレスなくゴルフができた」と全体6位の25パットで6バーディーを量産した。
好調の要因を2つ挙げた。1つ目はグリーンの傾斜を足裏で読む「エイムポイント」の精度向上だ。2週前、考案者のマーク・スウィーニー氏(米国)が千葉県内のゴルフ場で行った講習会に2日間、参加した。これまで、両足でグリーン上を踏む際に傾斜の判断を迷うことが多かったが、「直感を大事にしろ」との助言を受けた。この日の7番では、大きく右から左へ切れる4メートルのフックラインを読み切りバーディー。「自分の感覚とラインが合ってきた」と早くも成果が表れている。
また、前週にはパターのシャフトを1インチ短くし、高校生以降では最短の32インチに変更。パットがショートするなど、インパクトが緩む課題の克服に努めた。岩本砂織コーチ(53)から練習用に製作を勧められた新兵器は「めっちゃいい。無駄な動きをせずにインパクトまでいける」と距離感が合うようになり、前週の試合から投入していた。
昨年、初優勝を含む3勝を挙げた22歳。キラキラや派手なものが好きで、この日はアイスクリーム柄のウェアを着用。好きな芸能人には人気日本人女性ラッパーの「LANA」を挙げ、今年から目元に、同じような長くて逆立つまつげエクステをつけて「気分が上がる」と笑う今時のZ世代だ。
好発進で快挙への思いも湧いた。今大会開幕前日までは意識していなかったが、「いいプレーができたので、(メジャー2)連勝できるように頑張りたい」と目標を“上方修正”。「パッティングも、ショットもレベルアップしている。この調子でいきたい」。昨季年間ポイントランク6位で今季女王の本命候補に推されるホープが、まつげも調子も“アゲアゲ”で9人目の初制覇からのメジャー連勝へと突っ走る。(富張 萌黄)
【注】「フィート」はグリーン上に転がったボールの速さを表す単位で、計測器で測る。1フィートは約30センチ。一般的に、アマチュアは8~9フィート(約270センチ)、女子プロの平場の大会は11、12フィート(約360センチ)で、超高速で「ガラスのグリーン」と呼ばれる男子の海外メジャー、マスターズは14フィート(約420センチ)。
◆エイムポイントとは 正式名称は「エイムポイント・エクスプレスリード」。グリーンの傾斜を計測する方法で、スウィーニー氏が考案。足裏で傾斜を把握することがカギとなる。傾斜の角度は5段階あり、傾斜が緩い場合は「レベル1」、きつければ「レベル5」となる。ラインを読む際はボールの後方に立ち、傾斜のレベルに応じて顔の前に指を立ててラインを決める。元世界ランク1位のアダム・スコット(豪州)らが導入し、世界的に広まった。
◆桑木 志帆(くわき・しほ)アラカルト◆
生まれとサイズ 2003年1月29日、岡山市。22歳。163センチ
ゴルフ歴 4歳で始める。岡山理大付高を経て、倉敷芸術科学大在学中。21年6月のプロテストで一発合格。同年末の新人戦優勝
ツアー歴 本格参戦1年目の22年はメルセデス・ランキング51位でシードを逃す。23年同10位で初のシード入り。24年6月の資生堂レディスでツアー初優勝。同年8月に2勝目を挙げ、11月の最終戦JLPGAツアー選手権リコー杯で初のメジャー制覇。通算3勝目を挙げた
同学年でメジャーV一番乗り 02年度生まれでは岩井明愛(あきえ)、千怜(ちさと)、佐久間朱莉らを抑え、初の国内メジャー覇者に
憧れ 岡山出身の渋野日向子、吉田優利
性格 「負けず嫌い」と父・正利さん
好きなもの 色はピンク、黄色。カラオケの得意曲はHY「366日」